サル、イノシシ対策で初の研修会/住田町

▲ 東北での被害事例を示しながら分かりやすく対策法を伝えた宇野氏㊧=住田町

 住田町鳥獣被害防止総合対策協議会によるニホンザルやイノシシを対象とした初の研修会は16日、町役場町民ホールで開かれた。町内ではこれまで、主にシカやカモシカ、ハクビシンによる被害が目立っていたが、近年は上有住でサル被害が増加。上有住では本年度、イノシシも捕獲された。参加者は生態の特徴などを学び、地域ぐるみで被害防止にあたる重要性に理解を深めた。

 

地域一丸で被害防止を


 近年、五葉山周辺に生息するニホンザルが人里に現れ、集団で行動し、農地被害が増加。また、宮城県を通り、北上しているとされるイノシシも近隣市町村では被害が深刻化し、町内でも目撃や捕獲がある。
 ニホンザル、イノシシに関しては町内での被害対策知識が浅いといえる中、同協議会では生態から対策について学ぼうと企画。地元の猟友会や農協、森林組合の関係者ら約60人が出席した。
 講師を務めたのは、仙台市にある合同会社・東北野生動物保護管理センター代表の宇野壮春氏(38)。同センターは東北を中心に、ニホンザルやツキノワグマ、イノシシ、ニホンジカなど大型・中型ほ乳類を対象とした調査・研究、被害対策業務を展開している。
 宇野氏は前半、ニホンザルの生態と対策を解説。学習能力や環境適応力が高く、群れによって生活しているといった特徴を伝えたうえで、被害対策について説明した。
 この中で、「捕獲だけでは被害が減らない」と指摘し、地域ぐるみでの追い払い・追い上げの大切さを強調。さらに「おいしいものを食べさせない」と、防護網設置や収穫しないカキの木を伐採するといった地域ぐるみの取り組みの重要性にもふれた。
 イノシシに関しては、宮城県内で急速に拡大している被害実態を説明。近年、生息域を拡大しながら北上しているとしたうえで「被害が出てきたと思ったら、10年後にはとても大きくなる。危機感を持ってほしい」と警鐘を鳴らした。
 説明によると、タケノコやジャガイモを掘り起こすだけでなく、田にも被害を及ぼす。母子グループで行動し、オスは単独行動をとる。繁殖能力が高く、毎年生息数の50%を捕獲しても、翌年には同数に戻るという。
 住田町では先月、上有住天嶽でオス1頭を捕獲。くくりわなにかかり、100㌔を超えていた。
 理想的な対策に関して宇野氏は、防護柵を正しく設置することで物理的に侵入させない大切さを強調。「柵は張ることがスタート」とし、維持管理の重要性も掲げた。
 また、比較的生活行動範囲が狭い傾向や、開けた場所に出るのを警戒するといった特性も紹介。日ごろの刈り払いや、放棄作物を平地に散在させないなど、地域住民がスクラムを組んだ形での防除対策を強調した。
 喫緊の課題とあって、出席者は終始熱心な表情で聴講。町鳥獣被害対策実施隊の高橋慎一郎隊長(69)=上有住=は「イノシシがまさかこんなに早く住田にも来るとは思っていなかった。知識を共有しながら、対策を講じていくことが重要」と話していた。