越喜来の泊地区〝結の道〟第2期開通式、低地と高台つなぐ遊歩道(別写真あり)

▲ 新たに完成した道の感触を確かめる地域住民と学生たち=越喜来・泊地区

「食まつり」ではそばなどに舌鼓を打った=泊区公民館

 東海大学の学生らが中心となって、大船渡市三陸町越喜来の泊地区で整備を進めている「結の道」で19日、第2期開通式が行われた。同大の学生やOB、地域住民らが集まり、防災集団移転で高台と低地に分かれた住民たちをつなぐ道の一部開通を祝いあった。この日は、同地区で収穫されたそばなどを振る舞う「泊の食まつり」も催され、学生・住民が交流を深め合いながら、秋の味覚に舌鼓を打った。

 

「食まつり」も開催

 

 結の道は、東日本大震災津波の被災跡地に遊歩道を整備し、防災集団移転で高台と低地に分かれた住民たちの憩いの場をつくろうと、同大チャレンジセンターが運営する「3・11生活復興支援プロジェクト」に参画する学生たちが発案した。
 全体にウッドチップを10㌢ほど敷き詰めた散策路で、全長は約800㍍。中間地点付近には広場が整備され、フラワーアーティストの加藤ひさえさんによる「花と竹のアート」もつくられている。
 東海大の学生らは泊区公民館などに寝泊まりしながら、ウッドチップの敷設を実施。昨年は第1期作業分として、泊地区住民13世帯が集団移転した泊地区団地「泊・結の丘」から海側へと続く約200㍍が完成した。
 今年8月には結の道第2期工事を〝着工〟し、泊漁港付近の「みなと口」から山側に続く約200㍍を整備した。残り約400㍍は「結の丘」から山側へと続く道としており、来年作業を予定している。
 この日の開通式には、住民と学生、NPO法人アーバンデザイン研究体(東京都)のメンバーら約30人が参加。結の道のメインデザインを担当した東海大OBの下田奈祐さん(28)は「被災跡地をなんとか良い形で活用できればと3年半ほど前に(結の道を)提案させてもらった。まだ作業するところは残っているが、完成した道をぜひ歩いてもらえれば」とあいさつ。
 同地区の林明区長(71)は「学生たちが暑い季節に一生懸命苦労しながら工事してくれ、とても感謝している」と謝辞を述べた。
 最後に、テープカットが行われ、全員で道の一部開通を祝い合ったあと、全員で道を散策。木の香りが漂う道の歩き心地をゆっくりと確かめていた。
 「泊の食まつり」は泊地区公民館で開かれ、同地区で今年初めて作付けしたそばなども振る舞われた。
 ソバは、結の道沿いに畑を整備し、平成27年から三陸鉄道甫嶺駅近くでソバを育てている甫嶺まちづくり委員会から種の提供や栽培方法の指導を受けてきた。
 10月中旬に収穫したソバの実は約50㌔。このうち、食まつりでは脱穀・製粉したそば粉10㌔を使用。日頃市町の山下一成さん(76)から指導を受けながら、そば粉10に対してつなぎの小麦粉2を使う「外二そば」を作った。
 このほか、つばき油で揚げたかき揚げや山下さん特製のキビのお汁粉、さまざまな団体や個人からの差し入れが用意され、参加者はそれに舌鼓を打ちながら、震災から続く絆をさらに深め合っていた。