大船渡高演劇部が東北地区発表会初出場へ、県高総文祭で優秀校一席 (別写真あり)

▲ 通し稽古を行う部員たち=旧気仙中学校

 県立大船渡高校演劇部(部員18人)は、12月13日(水)〜17日(日)に山形県で開かれる第50回東北地区高校演劇発表会に、県代表として出場する。このほど北上市で行われた第40回県高校総合文化祭演劇部門発表会・第43回県高校演劇発表大会で、同校初の優秀校第一席に輝き、大舞台への切符をつかんだ。演じるのは、東日本大震災での高校生の体験をもとにした飴屋法水さんの『ブルーシート』。同校の生徒たちの実体験をストーリーに加えるなど、大幅にアレンジした〝大高版〟となっており、今月23日には陸前高田市の旧気仙中学校敷地内で通し稽古を行うなど、大舞台を前に、さらなるレベルアップを図っている。

 

本番へ旧気仙中で通し稽古

 

 東北地区高校演劇発表会は、東北各県の県大会で上位の成績を収めた2校(開催県は3校)が出場。全13校のうち、上位2校までが来夏の全国高総文祭に出場できる。
 同校が発表する『ブルーシート』は、飴屋さんが福島県のいわき総合高校の生徒たちとやりとりしながら書き下ろした作品。会話の断片やモノローグを重ねながら、東日本大震災の記憶や、そのまちに暮らす現在を描写している。平成26年に〝演劇界の芥川賞〟と呼ばれる岸田國士戯曲賞を受賞した。
 脚本は、「ガレキだらけの校舎から探し出した俺のランドセル。中でヒトデが死んでいた」などと震災での生徒たちの実体験を加え、大幅にアレンジした〝大高版〟。震災で全壊した旧気仙中学校を舞台としており、せりふの中には「川底が見えるまで引いた波に、3階建ての校舎はすっかり波にのまれた」「黒い波にのまれた校舎は、ガレキをたたえたまま、今も同じ場所に立っている」など、それを思わせる描写もある。
 県高総文祭に県南地区代表として出場した同部は、最優秀校に続く第2位の優秀校1席に初めて選ばれ、東北地区発表会への出場を決めた。会場には、飴屋さん本人も訪れており、多田千恵子教諭(41)に「みなさんの潤色(アレンジ)が良かった。これからも頑張ってください」と声をかけたという。
 現在は、東北地区発表会に向けて脚本に修正を加えたほか、役者のレベルアップを図ろうと、特訓に励んでいる。23日には、陸前高田市の協力を得て、旧気仙中学校の昇降口付近で通し稽古を行った。
 ヘルメットをかぶった生徒たちは、寒さをものともせず、約1時間の劇を熱演。
 途中で野良ネコが入り込むアクシデントもあったが、落ち着いて対応し、全体の流れなどを入念にチェックしていた。
 部長の菊地翔介君(2年)は「東北地区発表会は、震災から7年がたとうとしているまちの現状や、沿岸の被災した人にしか分からない気持ちを届けられる良い機会。あまり時間がないが、自分たちの思いなど、たくさんのことを伝える場にできたら」と力を込める。
 同部は12月10日(日)に盛町のリアスホールで、最終リハーサルを兼ねた発表会を行う。開演時間は調整中だが、多田教諭は「せっかくの機会なので、気仙のみなさんに劇を見てもらいたい。詳細が決まり次第、発表したい」と話している。