「細やかさ」より重要に、居住7年目の暮らしを仮設自治会長から聞き取り調査/陸前高田

▲ 陸前高田市は仮設住宅団地の集約化を進め、32年度以降の最終集約地は滝の里団地とする方針=竹駒町

 法政、明治、工学院など各大学の教員、学生らによる陸前高田地域再生支援研究プロジェクトチーム(代表・宮城孝法政大学教授)は、今年8月に行った活動をまとめた「居住7年目を迎えた陸前高田の仮設住宅における被災者の暮らし調査報告書」を発刊した。陸前高田市と住田町内計41仮設住宅団地を回り、29団地の自治会長らから協力を得て、聞き取り調査を実施した。報告書からは入居者減少や仮設団地集約の動きに合わせた、きめ細やかな説明や支援策の重要性が浮かび上がる。調査は今後も続けることにしている。

 

大学教授らのチームが報告書

自治や支援の〝縮小〟も顕著

 

 同プロジェクトは、各大学の建築・都市計画、国土計画、社会福祉などの研究者らが相互に協力・補完しながら支援活動を展開。被災住民自身が地域の再生や生活再建に向けてその課題を話し合い、主体的な取り組みを進めるための支援を目的としている。
 調査は平成23年から実施し、7年連続。今年8月4~7日と18~21日に、各大学の教員、学生ら延べ35人が参加して、陸前高田市内39カ所と住田町内2カ所の仮設住宅団地を訪問した。
 結果、仮設住宅団地の自治会長らから協力が得られたのは29カ所。調査ができなかった団地は、入居者がいない米崎、小友、広田地区の団地のほか、年度内に解体・撤去が予定されている団地が多かったという。
 県のまとめによると、市内仮設住宅供給戸数2168戸に対し、調査当時で13団地の254戸が解体された。居住戸数は622戸で入居率は32・5%。入居者数は1555人で、市内人口の10%を割り込んだ。
 昨年の同時期と比較し、解体戸数は166戸増加。入居戸数は398戸、入居者数は960人減少した。
 調査で浮かび上がったのは、県まとめと各自治会長が把握している入居者数との開き。インタビューで自治会長から聞き取った数を合計すると、入居戸数は昨年比で600戸近く減少し、入居率は25%を下回る。実際は居住していなくても、鍵を返却していない世帯が少なくないという。
 陸前高田市では昨年8月から、県内最大の災害公営住宅である栃ケ沢(高田町)で入居が始まった。土地区画整理事業も、各地で宅地引き渡しを迎えた。こうした中、市は今年6月に「応急仮設住宅の撤去・集約化の基本方針(改訂版)」を公表。本年度は学校用地を中心に撤去・集約化が行われる予定となっている。
 自治会長のインタビューでは、この方針をどう受け止めているか調査。本年度中に撤去・解体予定の自治会長からは「小学生に早く校庭を返したい思いがあるため不満はない」など、好意的な意見が寄せられた。
 ただ、31年度から本年度に前倒しとなった団地からは「新聞報道で初めて知り、あぜんとし言葉が出なかった」との声も。「仮設から仮設に引っ越しても、次の仮設に住む期間は短期間であり、精神的にも非常に負担を感じる」「ここまで待ったのだから最終移転先が完成するまで居住延長を認めてもらうように働きかけるつもり」といった回答も聞かれた。
 また、入居者減少に伴い、自治会活動を継続している団地は「まれになっている」現状も浮かび上がった。多くの団地で自治会費の徴収や総会開催を行っていなかったという。
 さらに、NPOやボランティアグループ、大学などによる支援件数の減少も明らかに。昨年調査時は95件で、今回は57件にとどまった。一方、自治会長の声からは、草取りをはじめ「居住環境整備」を求めるニーズが依然として大きい現状も浮かび上がった。
 宮城教授は「仮設から仮設への転居は負担が大きく、その軽減策をはじめ丁寧な説明、支援が必要。説明のあり方も、被災者の立場に合わせた個別的な対応が重要になっている。コミュニティー活動が縮小している今こそ、どのような支援が必要なのかを考えていくことも大切」と話す。
 報告書は各自治会長や行政、議会の各関係者、支援団体らに配布。調査活動は、来年度以降も行うことにしている。