気仙訪問通算56回に、トヨタGのボランティア/気仙(別写真あり)

▲ リンゴの収穫で本年度の活動を締めくくった参加者=陸前高田市

 トヨタ自動車㈱(愛知県豊田市)と関連15社による気仙地域でのボランティア活動は25日、本年度最終クールの活動を終えた。平成23年からスタートし、有志のグループ社員らが夏〜秋の年数回にわたって来仙。7年目を迎えた今期でボランティアの訪問は通算56回を数え、これまでに延べ1047人が参加した。何度も名乗りを上げるメンバーもいるなど、気仙の自然と食、人々とのふれあいは、参加者に「復興支援」以上に強い来訪の理由をいだかせ、受け入れる地元住民らもまた、グループ社員の訪れを心待ちにする。活動は来期で60回を超える見通しだが、同グループは「まだまだ通い続けたい」としている。

 

「来年また」住民に再訪誓う、3市町で今年の活動終了

 

 トヨタ自動車は東日本大震災後、3億円の義援金拠出、物資支援、車両提供、農業支援など広範囲にわたる活動で被災地をバックアップ。グループ社員らによる気仙地方での復興支援ボランティアは23年6月から始まり、同社を含めた16社から有志が参加している。
 当初は住田町に活動拠点を置いていたNPO法人・愛知ネットが、現在は㈱カメリア社中の佐藤優子代表取締役(大船渡市)が調整役を務め、3市町での訪問先をコーディネート。活動内容は発災直後の災害復旧支援から、仮設住宅などにおける住民との交流、子どもたちの遊びや学びに対する支援へと変遷し、各地で強いきずなを結んできた。
 本年度は6回にわたって気仙3市町で活動が行われ、毎回グループ社員8人と事務局員2人の計10人ずつが参加。三陸・大船渡夏まつりの海上七夕船装飾や、市民道中おどりへの参加、学童クラブでの工作教室などを繰り広げた。
 最終クールとなった今回は、「高田松原を守る会」の竹す編み作業、住田町・中上仮設住宅での環境整備などを2泊3日の日程で実施。最終日の25日は、陸前高田市米崎町の菊池司さん(68)が管理する林ノ下農園内で、「トヨタグループ専用エリア」のリンゴ収穫を行った。
 津波浸水域にある同農園は、「ふじ」の苗木を新たに植えつけて5年目の土地。同グループはこの農園で27年から、初夏に行われる「摘果」、まんべんなく日を当てるのに欠かせない「玉回し」を手伝っている。収穫の時期が来ると、カメリア社中を通じてリンゴを注文。毎年何箱も購入する参加者もいるという。
 同日は、メンバーが真っ赤に輝くリンゴを次々と収穫し、年間を通じた作業の結実も実感。菊池さんは「いつも夫婦2人で作業しているので、手間のかかる仕事を手伝っていただきありがたい」と感謝した。
 トヨタ自動車の田中建三さん(63)はこの6年以上、ボランティア参加者のまとめ役を務め、40回以上にわたり気仙を訪問。本年度いっぱいで退職するといい、自身の活動が最後となることを惜しみながら「今度は個人的に来ます」と笑った。
 田中さんは、「いいメンバーに恵まれ、今も参加者同士で集まって『あちらはどうなっている』と語らうことも多い。気仙の方はいつも温かくもてなしてくださり、自分たちのほうが思いやりの心を教えられてきた」と振り返るとともに、「役員たちもこの活動に強く理解を示し、継続を後押ししてくれている」と語り、後進たちが今後も気仙地域との関係を深めてくれることを願った。