風水害時の体制など強化、地域防災計画を見直し/大船渡市

▲ 昨年発生の災害などを踏まえ、大船渡市地域防災計画を見直しへ(写真は10月の市防災訓練)

 大船渡市は27日の市議会全員協議会で、地域防災計画の修正案と業務継続計画案を示した。修正案は、国の防災基本計画の修正などに伴い、新たな風水害に対応した防災体制の整備などを盛り込んだ。業務継続計画は災害時に人材や施設、ライフラインなどが制限された状況下で優先的に行う業務、必要な資源確保などを定めている。市は12月1日(金)から、各案の閲覧と市民からの意見募集を行い、年度内の決定を目指す。

 

業務継続計画案も作成

 

 地域防災計画は、住民の生命、身体、財産を災害から保護するため、災害対策基本法に基づいて市防災会議が作成。防災の万全を期すために必要な災害予防、災害応急対策、災害復旧・復興に関する事項を策定している。
 東日本大震災後は平成28年度までに4度修正。今回は防災基本計画の修正や、同年発生した台風10号、熊本地震の教訓を踏まえて見直しを図った。
 防災基本計画修正に伴う見直し項目は、▽実効性のある避難場所の確保▽適切な避難行動を促す情報伝達▽外部支援者との連携──の3点。このうち、避難場所の確保では「市は、必要に応じて、近隣の市町村の協力を得て、避難場所を近隣市町村に設ける」とした。
 台風10号災害を踏まえた見直し項目は、「新たな風水害に対応した防災体制の整備に伴う見直し」と位置付け、▽県・市における防災体制の強化▽社会福祉施設等における防災体制の強化▽住民・自主防災組織等に対する防災意識の高揚──の3点を掲げた。
 県・市における防災体制の強化では、「市は、台風接近時等には大雨の予報等が発表された段階から、災害の危険が去るまでの間、今後の見通し、とるべき避難行動について、逐次、住民、要配慮者利用施設へ伝達すること」などを挙げている。
 熊本地震の教訓を踏まえた見直し項目は、▽避難所の環境整備▽車中泊、エコノミークラス症候群対策──の2点。避難所の環境整備では「市は、福祉避難所の設置、運営など、要配慮者に配慮した環境の確保に努めること」と、定めている。
 業務継続計画は災害が発生し、人・施設・資機材・情報・ライフライン等の利用できる資源に制約を受ける状況において、優先的に実施すべき業務(非常時優先業務)の特定や業務の継続に必要な資源の確保等について定めるもの。〝行政も被災する深刻な事態〟も考慮し、災害発生直後の混乱で行政が機能不全になることを避ける狙いもある。
 基本方針は、①非常時優先業務の中においても、応急業務を優先②発生から72時間は、応急業務の中においても、人命に係る災害応急対策業務に重点をおき、市民の生命を守るための業務を優先③非常時優先業務への人員確保のため、通常業務については中止または縮小する──の3本。災害対策本部を設置し、被害状況や職員参集状況の報告を踏まえ、災害対策本部長(市長)が必要と認める場合にこの計画を発動する。
 計画の要素には、▽首長不在時の明確な代行順位および職員の参集体制▽本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定▽本庁舎における電気、水、食料、消耗品等の確保──など6項目を定め、現状、課題、具体的な対策を示している。
 議員からは、ボランティアら外部支援者の受け入れや連携のあり方、業務継続計画案の内容などで質問があった。避難所環境の充実、津波や水害など災害別による避難方法の整理も求められた。
 市は来月1日~22日(金)まで、市ホームページや市役所本庁などで市民らに修正案などを公開し、意見募集を実施。修正案等はこの後、来年2月上旬開催予定の市防災会議での承認をへて、決定となる見通し。