木工館新たな活用本格化、指定管理者制度を導入/住田町(別写真あり)

▲ 指定管理者制度によって新たな活気が生まれ始めている木工館=上有住

 住田町上有住の高齢者生活福祉センター・アンルスに隣接する町木工館は今秋から指定管理者制度が導入され、指定を受けたアトリエリトア(大村圭代表、世田米)による木工品制作が本格化している。木工作家の大村代表(43)は新生児誕生祝い品など町発注品の制作に励むほか、家具分野の拡大に力を入れる方針。のどかな風景に囲まれる中で「産業として自立したい」と、意欲を見せる。

 

アトリエリトアが運営
玩具、家具づくり拠点に
「産業として自立を」

 

 上有住和田野地内の木工館は平成5年に整備された木造平屋建てで、六角形の形状が特徴的な施設。古き良きたたずまいが残る八日町通りに近く、地域住民らが日々グラウンド・ゴルフなどを楽しむアリスパークにも隣接する。
 施設内部には各種木工機械があり、町はこれまで高齢者の生きがいづくりや地域文化向上につながる活動を期待。しかし、施設内に常駐者がおらず、近年は利用が年間数回にとどまっていた。
 町議会6月定例会で、アトリエリトアを指定管理者とする議案が可決。契約期間は10月からで、新たな加工機械の導入などを経て、11月から利用が本格化している。
 大村代表は千葉県出身。三味線奏者としても多彩な演奏経験を持ち、東日本大震災直後から夫妻で気仙の避難所を回り、民謡披露などで被災者を元気づけてきた。現在も「楽珍一座」としてさまざまなイベントに参加し、華やかな活気を呼び込む。
 平成23年から気仙に住み始め、大船渡市内の家具製作所で勤務。4年前から世田米の民家で暮らし、一昨年に起業して世田米の作業場を借りて木工作業にあたってきた。
 「木いくプロジェクト」を進める町は現在、新生児の誕生祝い品として離乳食用の木製スプーンとケースのセット、さらに玩具1点をプレゼント。大村代表が制作を担い、木工館に移ってからも日々寄せられる町からの注文に対応するため、手を動かし続ける。
 また、8月に行われた成人式で同プロジェクトが新成人に贈呈した木製カードケースも、大村代表が担当。さらに10月に町役場前で開催された町観光協会主催の「すみたまるごとフェスタ」でも、芝生上にテーブルやいすなどの木製家具を置き、好評を博した。
 大村代表は、これまで利用頻度が低かった機械のメンテナンスも重ね、県産材を使った木工品づくりに励む。「近隣に木材を乾燥させる小屋も確保でき、使い勝手としてはありがたい」と語る。
 指定管理の契約期間は3年で、今後はワークショップの開催をはじめ一般住民が足を運びやすい機会もつくる方針。「受注は広がっているが、もっと家具をつくっていきたい。この場所で、ものづくり産業として自立を」と、将来を見据える。