日米の親善人形2体を展示、巡回展「海を越えた絆」開幕/あすまで(別写真あり)

▲ 戦災と震災を乗り越えた2体の日米親善人形が10日まで展示されている=市コミュニティホール

 岩手デジタルミュージアム構築事業実行委員会、県立博物館、公益財団法人・県文化振興事業団が主催する巡回展「海を越えた絆〜『ミス岩手』と青い目の人形〜」は8日、陸前高田市高田町の市コミュニティホールを会場に開幕した。展示のメーンは、戦災と震災という二つの困難を乗り越えた2体の日米親善人形。陸前高田での対面は今回が初めてで、ほかにも当時の様子がうかがえる資料が多数紹介されている。会期は10日(日)まで。

 

戦災と震災を乗り越えて、陸前高田での対面は初

 

 この巡回展は、昭和2年の日米人形交流プロジェクトから90年目を迎える節目に合わせて企画されたもの。米国アラバマ州・バーミングハム公立図書館、陸前高田市教委、釜石市教委が共催し、陸前高田市立博物館、一関市立博物館、㈱吉徳が協力した。
 同図書館が所蔵する日本人形「ミス岩手(愛称・岩手鈴子)」を紹介するとともに、アメリカから気仙小学校に贈られ、同校で被災した青い目の人形「スマダニエル・ヘンドレン」との対面を果たし、被災地支援と海を越えた友情の絆を形成することを目的としている。
 今回は、ミス岩手とスマダニエル・ヘンドレンのほかに、青い目の人形が小学校に贈られた際の当時の新聞記事や、高田小学校が所蔵している人形たちのひな壇飾りの写真、盛小学校の児童らが人形を受け取りに行った際の記念写真も展示。日米人形交流の概要や、ミス日本の〝おうち〟であるバーミングハム市と公立図書館について説明するパネルもある。
 初日は、展示開始から2時間足らずで約30人が来場し、興味津々といった様子で人形たちに見入っていた。スマダニエル・ヘンドレンについては、陸前高田市立博物館の主任学芸員・熊谷賢さんが「戦争だけでなく津波も乗り越えた」「前回展示されたときはレプリカだったので、今回は震災後初めて本物が展示されたことになる」などと解説を加えた。
 会場にはノートも置かれており、来場者たちが「大変可愛らしい眼差しです。久しぶりの日本、ゆっくりしていってほしいです」「気仙小の青い目の人形が帰ってきて良かったです」といった感想を思い思いに書き込んでいた。
 展示時間は午前9時〜午後5時(最終日は同4時)。観覧料は無料。
 10日には、午前11時と午後2時の2回、ギャラリートークが予定されている。
 講師を務めるのは、ミス岩手の修復に携わった吉徳の顧問・青木勝氏と元気仙小学校長の菅野祥一郎氏。参加は当日受け付けで、聴講無料。