「まちづくり学校」で活気を、上有住土倉の古民家活用/住田

▲ まちづくり学校として今後活用される古民家=上有住

 気仙川の源流部に位置する住田町上有住土倉地内で来年5月、古民家を生かした「文化政策・まちづくり学校」が開校する見通しとなった。京都大学名誉教授の池上惇氏(84)が準備委員会の委員長を務め、地域住民も協力。人口減少に歯止めをかけるために不可欠な営農などを身につけ、地元高校生と意欲ある社会人がともに学び合う場もつくる。住田の地域文化や自然資源を生かした新たな取り組みとして、今後の展開が注目される。

 

 来年5月の開校目指す、営農、人材育成など見据え

 

住田を拠点とした人材育成に意欲を見せる池上氏=住田町役場

 まちづくり学校設置を巡っては、平成19年に池上氏らが発起人を務める大学院大学設立準備委員会が発足。今年に入り、池上氏を遠野市に招き、住田町民らが語り合う場も設けられてきた。
 住田町は豊かな自然、風土に恵まれ、東日本大震災以降は自然資源を生かした復興支援、文化発信でも注目を浴びる。さらに、都市住民と地域住民が積極的に交流を深めており、こうした環境を生かそうと、学びやの開設を模索してきた。
 町役場で22日夕に記者発表が行われ、池上氏や上有住在住の藤井洋治氏(68)、千葉修悦氏(63)らが構想を発表。池上氏は「地域活性化は、急速な人口減少に積極的に対応しない限り、うまくいかない」と力を込めた。
 地方では耕作放棄地増加が課題となっている中、営農を身につけながら職業的にも自立できる人材を育てる必要性を強調。「農業は自然を相手にし、人とのかかわりをきちんとしていかないと成り立たない。あらゆる職業に生きてくる。豊かな自然が守られてきた住田で営農をしながら人生を考え直し、社会で生きるために学んでほしい」と述べた。
 学習科目は、農業をはじめとした体験学習に加え、震災復興や防災、福祉、建築、教育文化など幅広い領域をそろえる考え。社会人を受け入れるだけでなく、住田高校生らも招き、ともに学び合う場を目指す。
 社会人学生のカリキュラムは、指導者との1対1の関係を大切にし、インターネットも活用しながら希望する分野の知識・技術習得を支える。町内の空き家や農地を活用し、社会人や指導者を地域内で受け入れることで、住田の地域づくりにも寄与する。3年後には、大学院大学の開設も見据える。
 広く寄付を募りながら社会人学生の授業料を抑え、研究費も確保していきたい考え。来月から古民家の改修に入り、学生募集を始める方針。3月には入学応募の取りまとめなどを行い、5月に開校式・入学式を計画している。
 近く、同学校に関するホームページや、学生指導などに活用するデータベースを立ち上げる。
 学校に関する問い合わせは千葉修悦さん(℡080・6019・3328)へ。