待望の完全2車線供用、国道397号の高屋敷工区/住田

▲ 全区間で2車線供用が始まった高屋敷工区=住田町

 住田町を通る一般国道397号のうち、大船渡市側から津付道路につながる全長約1・5㌔の高屋敷工区区間で27日、全区間での2車線供用が始まった。現道に沿って道路を新設し、より広い道路幅で勾配が安定するなど利便性が向上。この日は圧雪状態の路面だったが、ドライバーは新設道路の快適性を実感しながら慎重に走行していた。
 県は当初、30年3月までの完了を掲げていた。しかし、積雪や凍結による危険性が増す時期までに間に合わせようと、急ピッチで事業を展開。今月から新設道路を走行できるようになっていたが、片側交互通行が続いていた。
 27日の昼前に、施工業者が簡易型信号などを撤去。同日は除雪車が何度も往来するほどの悪天候に見舞われたが、新設道路は路肩に雪があってもスムーズにすれ違いができる車幅が維持された。
 全長3㌔の高屋敷工区は、県が平成10年度に着手。事業費は43億800万円で、大船渡側の1・5㌔は19年度に供用が始まった。
 残る区間では現道より高い位置で道路を新設。壁となるコンクリート施工を行うなど、道路改良や舗装工事を展開してきた。
 大型車のすれ違いに支障がないよう幅員9・5㍍を確保。現道は部分的に急勾配がある形状だったが、一定の勾配とすることで走行時の安全性を高めた。2車線供用後も、区間内で現道から乗り入れる部分の道路整備などは続く。
 国道107号との分岐点から種山につながる397号は、長らく交通の難所とされてきた。住田町における区間事業延長9・9㌔のうち、107号との交差点に近い小股地区でトンネルや橋梁を整備。種山に近い栗木トンネル側の子飼沢工区も改良が行われた。
 同工区と大船渡側で接続する津付道路は、当初は津付ダム整備によって水没する計画であることから、17年度に付け替え国道として事業着手。東日本大震災後、ダム建設は中止となったが、道路整備は三陸沿岸道路(復興道路)を補完する復興支援道路として整備が続き、26年10月に供用開始を迎えた。
 未改良区間が唯一残っていた高屋敷工区の完全供用で、当初計画された約10㌔に及ぶ内陸アクセス改良は大きな節目を迎えた。奥州市内でも改良が進展する一方、種山側の子飼沢工区に関しては、さらなる改良を求める要望も出ている。