栗木鉄山に再び光を――関心高まる住田町の近代産業遺跡

▲ 内容確認調査の一環で発掘された第一高炉の炉底部。比較的シンプルな構造で操業していた歩みが分かる=住田町

「町民の財産」利活用に期待

 

 今は静寂に包まれ、凜とした空気がただよう雑木林の一帯に、明治〜大正時代にかけて国内有数の製鉄村が形成されていた。住田町世田米、国道397号栗木トンネルの種山側に位置する栗木鉄山。その歴史が少しずつ解き明かされ、新たな住田の歴史資源として輝きを放とうとしている。
 町教委は昨年9月から内容確認調査に着手し、歴史的意義の明確化につなげようと第一高炉や本社事務所跡を調査。鉄鉱石や木炭など自然資源を生かした製鉄産業の構造に迫った。
 発掘作業であらわになった第一高炉は、炉底や基壇が良好な状態で維持されていた。今後も調査を重ねて「町民の共有財産」としての整備を目指すほか、国指定文化財申請も見据える。
 種山近くに広がる製鉄遺跡は、地域を支えた産業の歩みを伝えるだけにとどまらない可能性を秘める。足を踏み入れると、大股川のせせらぎを耳にしながら木々がもたらす空気の清涼さにふれ、心を落ち着かせることができる。歴史を学び、自然の奥深さも体感できる栗木鉄山。今後の利活用への関心の高まりも、期待される。
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