1年3カ月ぶりに常勤医着任、渡邊所長診察開始で地域住民からは安どの声/大船渡市

▲ 1年3カ月ぶりに常勤医として着任した渡邊所長が診療を開始=吉浜診療所

 平成28年10月から常勤医師が不在となっていた大船渡市三陸町の綾里、吉浜両国民健康保険診療所に、1日付で小児科医の渡邊周永所長(51)=同町吉浜=が就任し、5日に吉浜で内科と小児科の診察がスタートした。1年3カ月ぶりとなる常勤医師の着任に、受診した地域住民らは「とても助かる」と安どの声。11日(木)からは綾里でも内科の診療を始めることとしており、渡邊所長は「これまでの経験を地元に還元したい」と話し、地域医療の充実に向けて気持ちを新たにしている。

 

吉浜診療所は小児科も、綾里は11日にスタート


 綾里、吉浜の両診療所は、越喜来診療所とともに市の国民健康保険診療所として開設。17年からは医師1人が吉浜、綾里を兼務する形をとってきた。
 しかし、28年9月末で前任の所長が退任。市は後任医師の募集や市出身医師の情報収集などを行ってきたが、確保は難しく、同10月からは県立大船渡病院、県立大東病院、気仙沼市立病院などからの応援を受けて、診療体制の維持に努めてきた。
 こうした中、吉浜出身で気仙沼市立病院から吉浜の応援診療を担ってきた渡邊医師が、新所長として着任することが決定。さらに、吉浜では小児科も診察することとなった。
 今月1日付で所長に就任し、5日には常勤医としての診察が吉浜から始まった。同日午前中の内科診療には、地域住民らが受診に訪れた。
 渡邊所長は患者一人一人と向き合い、丁寧に対応。「患者さんに寄り添う医療を提供したい」との思いを抱きながら、診察に臨んだ。
 応援診療時から診てもらっているという、地元の竹下ふき子さん(69)は「渡邊先生は話もよく聞いてくれるし、ちゃんと診てアドバイスもしてくれるので助かる。地元に落ち着いてくれて、すごくよかった」と話し、久々の常勤医師着任に安心した表情をみせた。
 午後には、専門でもある小児科の診療も行った渡邊所長。11日からは綾里診療所での診察もスタートさせるほか、今後は吉浜地区内の訪問診療、市内小中学校の学校医などにも携わる見込みとなっている。
 以前から、ふるさとに戻ってくることを視野に入れて医師の道に進み、豊富な知識と経験を携えて地域医療を支える担い手の一人として帰ってきた。渡邊所長は、「小児科医として勤めてきた経験が、地元に還元できる。多くの人に診療所を利用してもらえるよう、これから頑張っていきたい」と力を込める。
 吉浜は、内科が毎週火、水、金曜日の午前9時~正午(受け付け午前8時30分~11時)に診察。小児科は月~金曜日の午後2時~3時(同午後1時~同時15分)が乳幼児健診や予防接種を、同3時~5時(同午後3時~4時30分)は一般外来診療となる。
 内科、小児科ともに毎週水曜日は完全予約制で、一般外来診療は行わない。薬は内科が院内処方、小児科は一部を除き院外処方となる。
 綾里は内科のみで、毎週月、木曜日の午前9時~正午(同午前8時30分~11時)に診療。薬は院外処方となる。