人工芝グラウンド活用 し少年サッカー大会、小笠原選手ら企画し初開催/大船渡 (動画、別写真あり)

▲ 各地からチームを集めて開催された初の「ウインターカップ」=大船渡市赤崎町

 大船渡市赤崎町の赤崎グラウンドで6日、少年サッカー大会「ウインターカップ2018 in 大船渡」が初開催された。グラウンド整備に尽力したサッカーJ1・鹿島アントラーズの小笠原満男選手(38)=大船渡高校出身=が暮らす茨城県をはじめ、県外のサッカーチームも参加し、本県沿岸部の子どもたちと交流試合を繰り広げた。大会は7日まで。鹿島の児童らを連れて大船渡へやってきた小笠原選手は、「この大会が被災地を訪れるきっかけになれば」と継続開催に意欲をみせる。

 

「被災地訪れるきっかけにも」、県内外から10チーム参加

 

 小笠原選手の呼びかけに応じて大船渡高出身者らで創設した一般社団法人「東北人魂・岩手グラウンドプロジェクト」(今野当代表)が企画し、市サッカー協会が主催した大会。同法人は、東北出身のJリーガーらによる「東北人魂を持つJ選手の会」などの後押しと数々の支援を受け、平成25年に旧赤崎小の被災跡地を仮設グラウンドとして整備した経緯がある。
 

タピック45などに立ち寄った茨城の子どもたち=陸前高田市高田町

同グラウンドは市の体育施設として利用されてきたが、利便性向上を目的に昨年夏から人工芝舗装の工事を開始。12月にはプレオープンのイベントも行われた。今回が、人工芝化後初めてのサッカー大会となった。
 今大会には茨城県、青森県、盛岡市など遠方のチーム、東日本大震災で被災した釜石市、大槌町、陸前高田市、大船渡市の少年サッカークラブなど、合わせて10チームが参加。2グループに分かれてのリーグ戦で順位を競った。
 子どもたちは柔らかい人工芝の上で、土の状態や転倒などを気にすることなく思い切りプレー。練習試合などでも顔を合わせたことがないクラブ同士の対戦も多く、選手の力量やプレースタイルの違いなど、ゲームの中からも学び合った。
 また、大会に先立って5日には、「鹿島アントラーズFCサッカースクール」に所属する2~4年生の児童20人が被災状況について学習。小笠原選手らの案内のもと、陸前高田市の震災遺構である気仙中学校、下宿定住促進住宅を見て津波の威力と脅威を感じ取ったほか、旧・道の駅高田松原(タピック45)内にある復興まちづくり情報館も訪れ、ベルトコンベヤーの模型などから復興への取り組みにも理解を深めた。
 子どもたちはタピック45の建物に記された津波水位(14・5㍍)のしるしを見上げて、波の巨大さを実感。へし折られたマツの根などを見たあと、小笠原選手の話にも真剣に耳を傾け、貴重な現地学習の機会としていた。
 中学時代までを盛岡市で過ごし、冬場は降雪のため屋外で競技ができなかったと振り返る小笠原選手は、「ここへ来れば冬でもサッカーができる。人工芝のグラウンドが完成したことで、大船渡へ足を運んでもらう場面がさらに増えれば」と同大会開催の経緯を説明。
 さらに、「鹿島にも海があるのに、大人たちの間には津波警報が出ても避難しようという意識がまったくない。鹿島の子どもたちをこちらへ連れてくることで、災害に備えるという気持ちを育てたい。その意味でも今後この大会を続け、ゆくゆくは『東北大会』のような形で大きくしていけたら」と見通しを語った。
 試合結果は後日掲載。