「安全守る」思い新たに、気仙2市町で消防出初式

▲ 精力的に活動に当たった団員への特別表彰も行われた=高田一中

 陸前高田市で8日、住田町で7日に年頭を飾る消防出初式が開かれた。新春にふさわしいすがすがしい青空のもと、消防団員らが規律ある姿を示し、今年一年の無火災や防災への思いを新たにした。大船渡市の出初式は14日(日)、盛町内で開かれる。

 

精力的な活動たたえ表彰も/陸前高田

 陸前高田市の消防出初式は、高田町内で開かれた。昨年荒天のため中止した分列行進が2年ぶりに繰り広げられ、式典では精力的に活動に当たった団員に対して、河野吉昭団長による特別表彰も行われた。
 団員311人をはじめ、消防職員、来賓ら合わせて約400人が参加。市消防防災センターに団員や各部の車両が一堂にそろい、河野団長を先頭とした分列行進が組まれた。
 団員たちは、式典会場の第一中学校を目指し、息の合った行進を披露。沿道には、団員の勇姿を見ようと多くの市民らが集まった。
 同校体育館に集合後、河野団長は「昨年は市内で犠牲者が出る火災も発生した」と振り返りながら予防消防の重要性を訴え、「私たち消防人は市民の信頼と負託にこたえなければならない。市民が安心して、安全に暮らせるよう今後も地域に密着した活動を」と訓示した。
 式典で統監の戸羽太市長は、高齢化の進行などを背景に発生する行方不明者の捜索事案に触れ、「団員は日ごろの活動を通じて地域の住民のことをよく知っており、団員による見守りなど予防活動が大切。われわれの努力で防げるものはしっかり防いでいこう」と述べた。
 市消防本部の平立身消防長は「消防団と住民が一体となって防災活動を行うことが重要。関係機関と連携しながら災害に強い体制を築き、平和で明るい一年としよう」と告辞した。
 その後、団長特別表彰も。消防団活動に尽力した全8分団から各1人に優良賞が贈られた。
 優良賞受賞者は次の通り。
 柴田見(高田分団)菅野俊一(気仙分団)長野正明(広田分団)佐藤孝雄(小友分団)千葉豊喜(米崎分団)佐々木翼(矢作分団)佐々木亮輔(竹駒分団)村上公也(横田分団)


威風堂々と分列行進/住田

地域住民らが見守る中、堂々とした分列行進を披露した団員ら=世田米

 住田町の消防出初式は、世田米で行われた。晴れ渡った空のもと、団員らは地域住民の拍手を受けながら威風堂々と分列行進。式典では統監や消防長、団長から年頭のあいさつを受け、今年一年の無火災への誓いを新たにした。
 式には町消防団から190人、婦人消防協力隊から125人、大船渡地区消防組合住田分署から13人が参加。天照御祖神社で無火災を祈願したあと、県立大船渡病院住田地域診療センター駐車場から分列行進を繰り広げた。
 団員らは、ラッパ隊の演奏に合わせ、きびきびとした動作で行進。沿道では地域住民らが見守り、団員らに拍手を送ったほか、子どもたちが後に続く消防車両19台にキラキラとした目を向けた。
 農林会館で開かれた式典では、統監の神田謙一町長が「災害が発生した場合に備え、危機管理体制のさらなる充実を図ることが大切。団員には、今後とも町民が安全で安心して暮らせる住田町を目指して、より一層のご尽力をお願いする」とあいさつ。
 同組合消防本部の村上芳春消防長は諭告の中で、大船渡市では一昨年から同じ地域内で不審火とみられる建物火災が続いており、いずれも空き家や物置小屋などが対象となっていることに言及。住田町内では約400棟の空き家などを確認しているとし、「十分な警戒が必要。消防団と婦人消防協力隊には、空き家と思われる建物の近隣住民に火災予防の声がけを」と呼びかけた。
 消防団の泉田義昭団長は、「昨年は4件の火災が発生し、残念なことに1名の尊い命が失われた。消防活動において、犠牲者を出さないことが最優先の使命。この事態を深刻に受け止め、本年は犠牲者ゼロ、火災ゼロを目指し、団員にはさらなる精進をお願いしたい」と訓示した。
 式典中には無火災表彰も行われ、6年間達成の第1分団、2年間の第5分団、1年間の第3分団にそれぞれ泉田団長が竿頭綬などを授与。婦人消防協力隊無火災地区隊として、2年間の上有住、1年間の大股各隊も表彰を受けた。最後は全員で「火の用心」を三唱し、新たな一年の無火災への誓いを込めた。