「地域創造学」充実へ、教育研究所全体会/住田町

▲ 森林環境学習をはじめ各部会ごとの取り組みが示された全体会=住田町役場

 各研究部会が発表

 

 平成29年度住田町教育研究所全体会は9日、役場町民ホールで開かれた。本年度、町内の小中高校5校は文部科学省の研究開発学校に新規指定され、各校と町教育委員会が連携しながら新設教科「地域創造学」(仮称)の研究を進めている。各部会の発表では、住田の自然・産業資源を生かした体験学習のあり方や、保育園から高校まで一貫性ある教育などを見据えた取り組みが示された。
 研究所全体会は町教委と町教育研究所が主催。町の教育研究課題である「自立して生き抜く力を身につけ、他者と協働して豊かな人生や地域づくりを主体的に創造できる人材育成」に向け、町内の保育士や小中高校の教員が一堂に会して共通理解を図る機会をつくろうと開催された。
 この日は、世田米小、有住小、世田米中、有住中、県立住田高校の町内5校や世田米、有住両保育園、町教委関係者ら約70人が出席。森林環境学習、グローバル学習、いのちの学習、就学前教育の各研究部会ごとに、本年度の活動成果を発表した。
 このうち、森林環境学習では町内の各保育園と小中高校が行ってきた実践内容を紹介。保育園では「森の保育園」として季節ごとに行っている種山に出向いての体験活動、小学校では気仙川水生生物調査学習などの取り組みをまとめた。
 研究では地域創造学が目指す自律的活動力、人間関係形成力、社会参画力からなる「社会的実践力」の関連性も意識。「種山で積極的に遊ぶことで、種山や住田の魅力を好きになっていくのでは」とする園児への期待に加え、発達段階に合わせた「つけたい力」を明確にするといった本年度の成果も示された。
 就学前教育では、有住小児童と有住保園児が種山で拾った木の実などを使った遊びをともに行う「森林学習交流会」の様子を説明。本年度初めての試みで、地元の自然を生かした心の成長を図る取り組みとして関心を集めた。
 各部会の発表後、東洋大学食環境科学部の後藤顕一教授が講評。「各部会とも価値ある取り組みを行っており、研究開発学校の初年度の取り組みとして非常に良いスタートを切っている」とし、今後の展開に期待を込めた。
 引き続き後藤教授は「これからの学びを考える 地域とともに考える学校教育の在り方」と題して講演。各年代の教育がつながる一貫性や地域の結びつきの重要性などにふれ、参加者は「住田型教育」のさらなる発展・創造を見据えて真剣な表情を見せていた。