碁石海岸の観光機能充実へ、椿館とレストハウス/大船渡市
平成30年1月13日付 1面

大船渡市末崎町大浜地内の世界の椿館・碁石と碁石海岸レストハウスは、昨年11月から大規模な改修工事が進められている。いずれも施設の機能充実や強化、体験型観光への対応を図るべく、老朽化した設備の改築、新たな施設や備品の整備などを行う。工事は両施設とも3月末の完了予定で、市は新たな設備を生かした誘客の拡大や観光体験メニューの開発などに力を入れていくとしている。
「体験型」見据え改修工事進む
同市が誇る観光地の一つである碁石海岸。椿館、レストハウスはともに碁石海岸観光を支える施設として、多くの観光客に利用されている。
このうち、椿館は平成9年にオープン。施設は鉄骨平屋建てで延床面積は1367・5平方㍍、さらに屋外展示場(面積220平方㍍)があり、現在は世界13カ国550種のツバキを展示する。管理、運営は大船渡市農協(新沼湧一組合長)に委託している。
落成から20年が経過し、施設の一部では老朽化が進む。今回、初めての大規模改修を行うこととなった。
改修工事の対象となるのは、既存施設内の遮光カーテンと温室開閉装置(換気用窓)の交換、屋内消火栓の設置。さらに、屋外展示場にガラス温室(延床面積99・78平方㍍)を増築する。また、つばき油用の大型搾油機などの備品充実も図る。
総事業費は約7000万円で、地方創生拠点整備交付金などを活用。請負業者は、工事設計業務が㈲新沼義雄建築設計事務所で、施工は㈱匠建設。
工事は昨年11月18日に着工。遮光カーテンと温室開閉装置の交換は終了し、ツバキの生育環境充実が期待される。現在は周辺の足場を解体する作業を行っており、今月中には市農協へ引き渡し、2月10日(土)に開幕する「三陸・大船渡つばきまつり」の準備に入るという。
温室は基礎工事を終え、工期の3月31日(土)に向けて建設を進める。完成後は、病気等で弱ったツバキの養生などに利用していく。
また、新たに大型の搾油機、沈殿機、電動粉砕機も導入する計画。これらはつばき油の搾油工程を広く知ってもらうために整備するもので、ツバキを活用した体験型観光メニューや市内小中学校の椿学習などに利用していくとしている。

浜の仕事体験室が増築される碁石海岸レストハウス=同
一方、レストハウスの改修工事は、交流人口の拡大と地場産業の振興を目的に実施。総事業費は約4825万円で、工事設計、施工は椿館と同じ業者が務める。工期も同館と同じ。
鉄筋コンクリート、鉄骨造2階建ての既存施設のほか、新たに資材倉庫を兼ねた「浜の仕事体験室」(延床面積44・71平方㍍)を増築。大船渡の海産物やさまざまな漁業にふれられる体験メニューを提供する。
1階テラス部分には20人程度が利用できる休憩スペースを確保。売店の天井には空調設備を新設し、新たな商品陳列棚、冷凍ショーケースも導入する。多機能トイレへのオストメイト対応設備も設ける。
2階には、情報発信機能の強化を目的としたスペースを開設。テレビモニターや展示スペース、ベンチシートを整備し、市内の観光情報、浜の仕事体験の内容などを来館者らに発信していく。
内装、外装も改修し、外壁にはモルタル補強と茶系の塗装で周辺の自然環境と調和を図る。1、2階にあるテラスの手すりは、鉄製からアルミ製に更新する。
現在は施設内部の工事を中心に行っており、1階部分はつばきまつりに合わせて利用可能としたい考え。浜の仕事体験室は基礎工事の段階という。
工期までには、備品の整備も完了する計画。体験室の利用については観光推進室など庁内の関係課、委託業者と調整を進めており、今後は地元地域や関係機関などとも検討。今年の本格的な観光シーズンに合わせて利用していきたいとしている。