綾里の野形でまた火災、無人の倉庫から出火/大船渡

▲ 火災の発生現場の見取り図

27年末から6件発生
付近住民の不安募る

 

 住宅などを焼く火災が相次いでいる大船渡市三陸町綾里の野形地区で18日夜、またも火災が発生した。出火現場は無人の倉庫で、すぐに消し止められたため、大事には至らなかったが、これで平成27年12月末からの約2年間で6件もの火災が狭い範囲で集中して発生したことになる。不審火が強く疑われる状況下、付近の住民らは不安を募らせている。

 

不審火の疑い強く

 

 火災があったのは、同町綾里字野形100の2、漁業・泉収さん(61)が所有する倉庫で、焼失区域などは調査中。付近の住民らによると、一輪の手押し車のタイヤ付近が燃えたという。同日午後8時38分ごろ、近隣住民に声をかけられたパトロール中の警察官が発見して消し止め、けが人はなかった。大船渡署では、19日に現場検証を行い、詳しい出火原因を調べている。
 この付近では、27年12月31日に作業小屋と空き家を焼く火災が発生。それ以降、28年5、10月、29年10月にも合わせて4件の火災が発生し、今回が6件目となった
 これらの火災現場は、三陸鉄道南リアス線の北側にある細い路地付近の建物で、6件とも半径60㍍以内に集中している。また、幹線道路からも遠く、街灯も少ないことから、夜は懐中電灯がなければ出歩けないほど暗くなるという。
 出火時刻は、4件が午後8時台で、2件が同9時台。燃えたのは民家4棟、作業小屋や物置、倉庫が計5棟で、今回の倉庫を除いて全てが全焼した。民家のうち、2棟は空き家。人が住んでいた2棟は、いずれも物置の燃え方が激しいなどの共通点がある。
 多発する火災に、住民らは不安を隠せないでいる。同地区の80代男性は「みんな『明日は我が身』と考えている。心配で夜も眠れない」と表情をこわばらせる。
 約2年の間に、狭い範囲で立て続けに発生していることから、住民らの間では不審火が強く疑われている。泉さんの親戚の男性は「本人は消防車が来るまで、自分の長屋が燃えていると知らなかったと聞いた。誰も家主に知らせないのはおかしいのでは」と首をかしげる。また、今回の火災現場では「早く(犯人を)捕まえてほしい」といった声も多く聞かれた。
 28年5月の火災以降、警察や消防関係者らは周囲のパトロールを強化。同年10月以降は、さらに強めて監視にあたっていた中で、またしても火災が発生してしまった。
 同署では、「詳しい原因を調査するとともに、過去の火災との関係も考慮して捜査を進めている」としており、住民らには「不審者を見かけたら情報提供を」と呼びかけている。