気仙三十三観音霊場 一目で、マップ上に観音様描く/「祈りの道」手ぬぐい制作(別写真あり)

▲ 漫画家のしまたけひとさんがイラストを手がけた手ぬぐい

 気仙三十三観音の霊場復活などに取り組む「祈りの道」再興プロジェクト(福田亮雄代表)が、気仙3市町の霊場を描いた「手ぬぐい」を制作した。マップ上の霊場所在地に観音様のイラストを描いたもので、地域住民からも「どこにどの札所があるか、どんな観音像がまつられているかが一目で分かる」と好評を博している。手ぬぐいは陸前高田市観光物産協会の窓口で購入できる。1枚648円。

 

僧侶らによる再興プロジェクト

 

 「祈りの道」再興プロジェクトは、東京都内の僧侶たちで設立された「ひとさじの会」が平成24年、被災地住民の〝心のよりどころ〟となる霊場の復活を願って立ち上げたもの。気仙三十三観音の巡礼マップや、霊場ホームページの作成、各霊場の朱印づくりに取り組むほか、毎年春と秋に徒歩での巡礼会などを開催している。
 手ぬぐいのイラストを描き下ろしたのは、東京都在住の漫画家・しまたけひとさん。しまさんは四国八十八カ所霊場を〝お遍路〟として歩き、『アルキヘンロズカン』として漫画化。東京・上野の成就院住職である福田代表(50)がこれを読んでしまさんに連絡を取り、「気仙三十三観音霊場を一緒に歩きませんか」と誘ったという。
 しまさんは昨年3月に行われた巡礼に参加し、福田代表らとともに6日間かけて33カ所を踏破。このときの経験や既存の資料をもとに、霊場の場所が分かるようマップ上に三十三観音を一体ずつ描いた。東日本大震災では10カ所の札所が被災・流失する被害を受けたが、陸前高田市米崎町に再建された立山観音堂(二十八番札所)では、高田松原の被災マツを使って新たに彫られた「あゆみ観音」が描かれるなど、〝最新情報〟が盛り込まれている。
 観音像のイラストは、柔和な線で見事に特徴をとらえて描き分けられている。手ぬぐいを広げると、三十三霊場の全体像も把握でき、これまでにない分かりやすさと親しみやすさがある。
 住田町のアツモリソウや、大船渡市のサンマ、穴通磯、陸前高田市の高田松原、両市の市花であるツバキなどもちりばめられ、リアス式の海岸線などとともに、気仙地域の特色もよく伝わる。同市観光物産協会が昨年11月の市産業まつりでこの手ぬぐいを販売した際も、好調な売れ行きをみせた。
 福田代表は「気仙地方と霊場のエッセンスが凝縮されたイラストになっていて、『ここにこんな霊場があったの』と地元の方にもご好評をいただいている。観音霊場について知ってもらううえで大変助けになる」と出来栄えに感激。また、掲載媒体・時期などは未定だが、昨年の巡礼会の体験記をしまさんが漫画化する企画も進行中という。
 今年も3月に巡礼会を開催予定で、福田代表は「多くの方が亡くなった地なので、観音様にご冥福を祈る機会としてほしい。志を同じくする人とお話できるのも霊場めぐりのいいところ。一度歩いてみていただければ」と呼びかける。
 巡礼会は詳細が決まり次第、本紙でも告知する。