販路拡大へ積極的にPR、初の「マチナカ商談会」/大船渡・商工会議所が主催(別写真あり)

▲ 気仙の28事業所が参加し、自社商品の売り込みを図った「マチナカ商談会」=リアスホール

 大船渡商工会議所(齊藤俊明会頭)主催の「三陸けせんマチナカ商談会」は25日、大船渡市盛町のリアスホールで開かれた。気仙の地域資源を生かした逸品を地元へ売り込み、販路拡大を図ろうと初めて開催したもので、3市町の28事業所が出展。参加した地元や県内のバイヤー(買い手)らに対して積極的なPRを図り、商品の浸透や新たな販路獲得につなげた。

 

地元へ売り込め 気仙の逸品

 

 気仙では平成25年度から、大船渡商議所や三陸けせん希望ストリート連絡協議会、東北六県商工会議所連合会などが主催し、「伊達な商談会」を開催。気仙などの事業者が参加し、首都圏や東北の大手百貨店、通販会社、外食産業などのバイヤーらに自社商品をPRし、商談を行う機会を設けている。

試食や試飲を設けて味から商品の魅力を伝えた=同


 事業者らにとっては、商品を売り込むことで浸透を図り、新たな販路拡大へとつなげるチャンスとなっている。
 一方で、中には販路拡大を希望しても商談会に臨む機会が少なかったり、生産規模が小さいためにバイヤーが求める大量の商品数に対応できず、取引まで至りにくいといった課題も生じていた。
 そこで、盛岡市内で開催されるマチナカ商談会を参考に、気仙で生産、加工された魅力ある商品を地元や県内に改めて紹介し、地場食材の活用、浸透を図り、新たな販路拡大にも生かそうと初めて企画。同協議会が共催した。
 商談会未経験の事業所が気軽に参加できる場にと位置付けたところ、大船渡市の19社、陸前高田市の7社、住田町の2社が出展。地元や県内各地の小売業者、飲食店、宿泊施設、卸売業などからバイヤー約60社が参加した。
 開会式では、齊藤会頭が「東日本大震災から6年と10カ月が経過したが、震災により失われた販路の回復を経営課題とする起業が多く、経済の復興を推し進めるためにも販路の回復、拡大が大変重要。出展者には販路開拓だけでなく、新たな商品開発等の多くの課題を解決する糸口を見つけてほしい」とあいさつ。実りある商談会となるよう期待を込めた。
 出展事業者ごとにブースを設け、展示商談会方式で実施。この日は水産、農産の各加工品や菓子、酒、ジュース類、調味料など、三陸、気仙の恵みを生かした総勢114商品が並び、出展者らは商品の展示はもちろん、試食を用意したり、チラシやパンフレットを配布するなどしてバイヤーらを迎え、自慢の商品をPRした。
 バイヤーらも出展者らと名刺交換を行いながら、商品の特徴や価格、取引可能な数量などを確認。主催者側で用意した出品目録やプロモーション映像なども参考にしながら、気仙の商品に理解を深めた。
 大船渡商議所主催の商談会には初参加となった三陸町越喜来のエンゼン栄丸水産(遠藤誠社長)は、北里大学海洋生命科学部と開発した練り物製品「ドンコちゃん」シリーズと、越喜来湾で養殖するムール貝を出展した。
 「ドンコちゃん」は、夏季に水揚げされるドンコの有効活用を目的に生まれた3種類のかまぼこ。今年4月からの本格製造と販売を予定する。
 遠藤社長(62)は「夏場の価格の安いドンコを練り製品にし、漁業者の新たな収入源や地元高齢者の雇用などにつなげたい。商談会で商品の紹介ができたのは一つのメリットであり、4月からの本格販売に生かしていきたい」と意欲を見せていた。
 バイヤーとして参加したメフレ㈱メフレ生鮮流通センター(金ケ崎町)の企画情報部・鈴木雅宏さん(24)は「注目する商品があって参加したが、実際に見てみたら新たに引かれる商品もあった。今後の検討に役立てたい」と、水産事業部の佐藤幹太さん(21)は「すでに取引しているメーカーもあるが、この商談会を通じて新たなつながりも図ることができた」と話していた。