具体検討進む物産館構想、運営・直売組合のあり方探る/住田

▲ 持続可能な運営や農業活性化などを見据えながら検討=生活改善センター

 住田町観光協会(泉田静夫会長)が一昨年から昨年にかけて開催を重ねた「町観光プラットフォーム」の中で機運が高まった、世田米・国道107号沿いでの観光物産館(仮称)整備構想。運営のあり方や、地場産品を供給する組合発足に向けた検討会が24、25の両日、町内でそれぞれ行われた。畜産資源を生かした展開や運営母体のあり方はまとまりつつあるが、高齢化や担い手不足をはじめ町が抱える農業課題も浮き彫りになった。施設規模や立地場所など今後さらなる検討を進める中で、幅広い層の生産者が参画しやすい体制づくりをどう進めるかなどが注目される。

 

農業課題も浮き彫りに

 

 観光プラットフォーム事業は、住田の魅力向上や所得向上につなげるための観光振興を見据え、情報交換や検討を行う場として設置。平成28年度は5回、29年度は9回開催した。
 出席者間では「交通量の多い国道107号沿いに、住田町の魅力や情報のワンストップ拠点となるような観光物産館(仮称)が必要」との総意でまとまった。協会では町内関係団体に参加を呼びかけて検討会を重ね、運営を担う組織づくりを進めている。
 観光物産館設立に向けた検討会は24日、町役場で行われ、協会や㈲ありす畜産、住田フーズ㈱、住田観光開発㈱、町農政課の各代表者らが出席。整備の基本方針や検討課題を確認した。
 観光プラットフォームの議論では、品質の高さに定評がある地場産品の鶏肉、豚肉などを生かした販売や体験充実を望む意見が目立った。町外に「木の町」として知られている強みなども生かす展開に加え、住田観光開発が運営母体となり、町内の農業、観光団体が連携していく形も確認。そのうえで、施設規模のあり方などについて意見を交わした。
 運営に関して出席者からは、「若手農業者の育成を柱にするべき。モノをつくるというよりもヒトを育てる意識で」と、長年の農業課題である担い手不足打破を意識した発言も。整備時期はまだ固まっていない中で「仮設店舗でもいいから、まず売る場所を確保して行動するのが先では」と、早期事業化を求める意見もあった。
 施設規模に関しては「身の丈に合ったサイズでスタートして、状況を見ながら大きくするのはいいのでは」「広い施設でがらんとしているよりも、狭くても常ににぎわっている状況を目指すべきでは」などの声があり、持続可能な運営を模索。今後も関係者が意見を交わし、施設のあり方や立地場所などで検討を重ねることになった。
 一方、地場野菜など町内産品を供給する組合設立に向けた検討会は、25日に町生活改善センターで開催。既存の産直組合関係者らが集まり、町内の生産者が商品を出しやすい仕組みづくりや組織のあり方を探った。
 観光協会によると、町内では種山(世田米)、栗の樹(同)、赤羽根(上有住)、五葉産直山帽子(同)の各産直組合があり、組合員の総数は100人程度。いずれも組合員の高齢化が進み「施設まで運んでくれる人がいれば出してもいい」といった声が多いという。また、東京電力の原発事故による放射能の影響で、きのこ類や山菜などの出荷意欲停滞が続く現状も話題となった。
 不安要素の半面「遊休農地を今のうちに何とかしないと、やぶになってしまう。産物をつくればお金になるという形をつくらないと」など、新事業に期待を寄せる出席者も。組合運営に関しては新たな組織を立ち上げるのではなく、既存の産直組織が母体となり、各団体が連携・協力し合う形が望ましいとの意見が出た。