歓喜の歌 こだま、第5回「けせん第九」演奏会/大船渡
平成30年1月30日付 7面

第5回「けせん第九」演奏会は28日、大船渡市盛町のリアスホールで開かれた。気仙内外の歌い手と演奏家らが集い、総勢約260人による感動のハーモニーを披露。大勢の来場者で埋まったホールに、地域の明るい未来を願う「歓喜の歌」がこだました。
総勢260人が感動発信
けせん第九演奏会は、同ホール開館を記念して平成21年1月に第1回を開催。気仙地区の合唱関係者が結成した合唱団「第九を歌う会」が、以降2〜3年のペースで演奏会を開いている。
今回の演奏会は、けせん「第九を歌う会」inおおふなと実行委員会(佐藤若子代表)と、公益財団法人日本交響楽振興財団が主催。競輪の補助を受けて開催された。
合唱団は、気仙地区をはじめ関東や九州などからも参加者が集まり、個人参加を含めて190人ほどが出演。オーケストラは、第1回から演奏会を支えている仙台フィルハーモニー管弦楽団(仙台フィル)の約70人が担当した。
指揮者は、東京藝術大学音楽学部指揮科の招聘(しょうへい)教授で、千葉交響楽団音楽監督として活躍している山下一史さん。
ソリストは、気仙出身の土井尻明子さん(ソプラノ)や菅野祥子さん(アルト)に加え、澤田薫さん(テノール)、米谷毅彦さん(バリトン)の4人。米谷さんは、都合により出られなくなった小原一穂さんの代理で出演した。
この日は、開場1時間前から多くの人が受付前に並び、ホール入り口まで続く長蛇の列に。開演までに、約900人が客席を埋めた。
はじめに、仙台フィルの団員が弦楽で『G線上のアリア』を演奏。東日本大震災犠牲者へ向けた献奏とし、聴衆も薄暗い照明の中で静かに黙とうをささげた。
その後、弦楽器編成でモーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』が奏でられたあと、合唱団が入場し、メーンのベートーベン『交響曲第9番』(第九)の演奏が始まった。
全4楽章のうち、冒頭から3楽章までは管弦楽のみ。山下さんの表現豊かな指揮で曲は緩急を織り交ぜながら盛り上がり、第4楽章へ。米谷さんの情熱的なソロで歌が加わり、合唱団も導かれるように壮大なハーモニーを響かせた。
今回、合唱団には初めて地元の小学生が加わるなど、幅広い世代の愛好者が参加。演奏終了直後、さまざまな人たちが一つとなり奏でた音楽に、聴衆からは盛大な拍手が送られた。
演奏会後、佐藤代表は「すばらしい演奏会が開けたことに感謝したい。多くのご縁をいただく機会となり、みなさんから届く力を糧にこれからもがんばっていきたい」と出演者らに語った。
山下さんも「みなさんはきょう、すばらしいメッセージをここから音楽で発信した。僕が願うことは、これが続いていき、みなさんが歌い続けること。生きている限り、私も駆けつけます」と、けせん第九の未来を応援していた。