新校舎に13人の思い、6年生がメッセージ残す/来年1月利用開始の気仙小(別写真あり)

▲ 来年1月から後輩が通う新校舎の建材に自分たちの思いを書き残す6年生=気仙町

 東日本大震災で校舎が全壊し、陸前高田市気仙町の高台で新築工事が進められている気仙小学校(菅野稔校長、児童55人)。6年生13人が6日に新校舎の建設現場を訪ね、それぞれの思いを込めたメッセージを建材に書き込んだ。利用開始は来年1月の予定。その頃、中学校に進んでいる13人は、形は変われど同じ気仙小で学ぶ後輩たちへのエールを記し、新校舎に〝思い出〟を残した。


 気仙小は震災後、気仙町にある長部小の校舎を間借りし、気仙小、長部小の児童は合同で学校生活を送った。両校は平成25年4月に統合し、校舎はそのまま旧長部小を利用している。
 新校舎の建設地は、市による土地区画整理事業で造成された今泉地区の高台⑤(気仙大橋西側)。木造2階建ての延べ床面積約2700平方㍍。昨年7月に着工し、施工は同市の㈱佐武建設、設計は綾井・土屋・IEE(綾井新建築設計、㈱土屋辰之助アトリエ、㈱教育環境研究所)設計共同企業体が請け負っている。
 6年生による「メッセージ保存」は、市教委が設計・施工者側から「卒業を控える児童たちにも新校舎での思い出を」と提案を受けて行われることとなった。
 児童たちは、巨大ベルトコンベヤーで土を搬出して造成され、住宅建設も進む高台を訪問。卒業生でも確認できるようにと、図書室の梁(はり)にメッセージを書き込むこととし、長さ13㍍、幅1㍍20㌢の県産カラマツ集成材1本が用意された。
 「安全で楽しい学校にしてください」「たくさん思い出を作ってね」──。屋根をふいたあとは見えなくなる梁の上面に、後輩たちに向けた思い思いのメッセージを丁寧に書いた。側面には「がんばれ!気仙小学校!!」の文字の下に一人一人の名前も書き残していった。
 吉田倫樹児童会長は「新しい学校もみんなで大切に使ってほしい」と期待を込め、「自分にとっては今の気仙小も大好きな学校。もう少しで卒業なので、一日一日を大事にしたい」と話していた。
 新校舎は今年11月末の完成予定。現在、基礎コンクリート打設などが盛んに進められており、利用開始は来年1月の3学期からとなっている。