姉妹都市提携締結へ、米国・クレセントシティ市と/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ まちぐるみでデルノーテ郡からの訪問団を歓迎=陸前高田市

4月に市民訪問団も派遣

 

 陸前高田市の戸羽太市長は12日夜、米国カリフォルニア州デルノーテ郡のクレセントシティ市からの訪問団を歓迎するレセプションにおいて、同市と近く姉妹都市提携を結ぶ考えがあることを明らかにした。4月には戸羽市長を含めた市民訪問団を公募によって結成し、渡米を計画。市長は「行政の独断ではなく、市民同士のつながりの中でこの話を進めたい」と述べ、同郡への視察によって、両市の新たな関係構築へ向けた機運が市民の間に醸成されるよう願った。


両市の高校間はすでに交流、津波で流失の実習船漂着を縁に

 約8000㌔離れたクレセントシティ市と陸前高田市の縁は、平成23年の東日本大震災で流失した県立高田高校の実習船「かもめ」が、およそ2年ものあいだ太平洋を漂い、25年4月にクレセントシティ市の海岸へ漂着したことがきっかけで生まれた。
 漂着を知った同郡のデルノーテ高校生らが、陸前高田へ「かもめ」を届けようと募金活動を行うなどし、資金集めに尽力。同年10月の返還実現をきっかけとして、両校はお互い行き来する関係を築き、29年2月には同郡からの代表団が陸前高田を訪れた際、正式に国際姉妹校提携を結んだ。
 この訪問では、クレセントシティ市のブレイク・インスコア市長が陸前高田市の議場でスピーチし、「困ったときは助け合える関係になりたい。市同士の間柄をさらに強固なものにしよう」と熱烈な〝ラブコール〟を送っていた。これを受けて昨年10月には伊藤明彦市議会議長が同郡を視察に訪れている。
 今回は11~16日の日程で、インスコア市長や同市議会議員のハイジ・カイムさん、デルノーテ郡議会議員のボブ・バーコウィッツさん、ローリー・コーウェンさんをはじめとする9人の訪問団が来市。12日には高田町のキャピタルホテル1000でレセプションが開催され、高田高生を含む市民らが歓迎した。
 会場でインスコア市長は、スクリーンに写真を映しながら、同郡の自然や観光地、1964年に同市を襲った津波などについて紹介。クレセントシティ市にも市内を流れる川があり、その河口に砂浜が形成されるなど、アメリカらしい雄大な景色の中に陸前高田との相似性を見いだした参加者たちは、歓談の中でも話題とし、双方の距離を縮めた。
 また、両校の交流を紹介する映像、同校海洋システム科の生徒たちによる取り組み発表、米崎町の「アップルガールズ」による『陸前高田の松の木』音頭の披露も行われ、訪問団も見よう見まねで踊るなどし、楽しいひとときを過ごした。
 会の締めくくりに、双方の市長は互いに記念品を贈呈。戸羽市長が「市民の皆さんと4月にクレセントシティ市へおじゃまし、姉妹都市提携の話を進めたいと思うがいかがか」と問うと、会場からは大きな拍手が送られた。
 インスコア市長はこの申し出に感無量の様子を見せ、「両市の市民が一体となり、一つのファミリーとして新しいコミュニティーをつくっていきたい。わたしたちの市に陸前高田の船がたどり着いたことは〝偶然〟ではなかった」と、あらかじめ結ばれていた双方の絆を再確認し、戸羽市長や市民らと固い握手を交わした。
 昨年、デルノーテ高校を訪問した高田高校普通科3年の金野将治君(18)は「あちらのホストファミリーが『いつでも戻っておいで』と言ってくれていて、一緒に泊まった友人と『絶対また行こう』と話していた。高校同士の交流が発展して、二つの市の関係がより強くなればうれしい」と語った。
 2回目の来市となったインスコア市長は、「前回出会った人たちが私を覚えてくれていたことや、皆さんの心からの歓迎が伝わり感激した」と笑顔を見せ、「われわれは両市の間柄について本当に真剣に考えている。都市圏から離れているなど、同じような課題を抱える二つの市が一緒にできることはたくさんあると思う」と今後の関係構築に大きな期待を寄せた。

 

4月に渡米する市民有志を募集

 

 陸前高田市は26日(月)まで、4月にクレセントシティ市へ訪問する市民有志を募る。旅行費用は自己負担となるが、一部は市からの助成も予定する。
 応募資格は、双方の友好関係発展に寄与する意思がある市民。
 募集定員は25人程度。パスポートの保持、取得が必須となる。
 現時点では、4月15日(日)出国、19日(木)帰国を候補日程とする。旅行費用の目安は16~20万円程度(国内交通費・現地宿泊費含む)。最終的な費用は航空運賃によって変動するため、渡航者決定後に確定する。旅行費用の一部は市から助成予定だが、食費や海外旅行保険は自己負担となる。
 希望者は26日までに、住所、氏名、性別、年齢、所属、電話番号を、市企画部企画政策課秘書係(℡54・2111、ファクス54・3888、メール:kikaku@city.rikuzentakata.iwate.jp)まで連絡すること。