待望の医療拠点が完成、震災で被災の高田病院が落成/陸前高田 (動画、別写真あり)
平成30年2月17日付 6面

3月1日に診療開始
東日本大震災で全壊した陸前高田市の県立高田病院(田畑潔院長)の新築移転工事が完了し、16日、高田町の現地で新築落成式が開かれた。関係者が安全な高台に建てられた医療拠点の完成を喜び合うとともに、県立大船渡病院などと連携した持続可能な医療供給へ決意を新たにした。開院は3月1日(木)。
式には54人が出席。東日本大震災の犠牲者へ黙とうをささげたあと、達増拓也知事が「新しい県立高田病院は、基幹病院である県立大船渡病院をはじめ、他の医療機関や地域との連携のもと、災害に強い病院としてスタートを切る。これは、沿岸地域の医療提供体制の再生の象徴となるもの。高田病院の開院により、被災した県立病院は全て再建となるが、県では復興の先にある明日への一歩につながるよう引き続き地域医療の再生、そして暮らしの再建に全力で取り組んでいく」と式辞を述べた。

新築された高田病院。3月1日に開院する=同
工事報告では、高田病院の沿革や建設工事の概要などを説明。関係医療団体や仮設病院の用地貸与者に対して感謝状も贈られた。
このあと、県議会の佐々木順一議長や戸羽太市長ら来賓5人が祝辞。
田畑院長は謝辞で、「震災直後から、地域医療の拠点となる本設病院の再建は、地域住民の悲願にもなっていると感じてきた。職員一同、ここを拠点に、気仙の医療体制の中での自分たちの役割を意識し、さまざまな連携活動を通じて、地域のコミュニティーを強化し、最後まで気仙で暮らしていけるよう、新しい病院理念『安心して暮らせる地域づくりのために、信頼される医療を提供する』を胸に活動していく」と決意を語った。
落成を祝してテープカットが行われたあと、高田保育所の児童たちが元気よく『ゆめちゃん音頭』を披露。出席者に向かって「病院の皆さん、頑張ってください」と声をそろえてエールを送った。
式後は、出席者が真新しい施設内を見学。職員の説明に耳を傾けながら、病室や手術室、骨密度測定室、リハビリテーション室などを興味深く見て回った。
気仙圏域の医療の核となる大船渡病院を補完し、回復期、慢性期の患者の受け皿となっている高田病院。気仙町にあった旧施設(70床)は、震災で最上階の4階まで浸水し、入院患者ら16人、職員6人が犠牲となった。
発災2日後の3月13日に米崎地区コミュニティセンターを間借りし診療を開始。7月には米崎町に仮設の診療所が建てられ、翌年の平成24年2月には被災した県立3病院の中で唯一、一般病床(41床)が設けられ、入院を再開した。
病院の再建地は、市の高田地区被災市街地復興土地区画整理事業により造成された「高台⑤」(高寿園北側)で、標高は約52㍍。施設は鉄筋コンクリート造2階建てで、延べ床面積は4265平方㍍。一昨年10月に着工し、総事業費は37億7600万円。診療科は変わらず計8科で、病床数は60床。常勤医師7人を含む職員約90人体制で運営する。
駐車場は164台分のスペースを設ける。災害による停電時も電気を供給する自家発電設備なども導入。病院裏には、鉄筋コンクリート造3階建ての職員公舎(40戸)も建てられる。
17日午前9時〜正午まで新病院の見学会を、20日(火)午後6時〜7時まで高田町の市コミュニティホールで新病院に関する説明会を開く予定。誰でも参加でき、事前申し込みは不要。