手を取り合い課題解決を、津田塾大(東京)と連携協定/住田町

▲ 今後の発展に期待を込めた(左から)菊池議長、神田町長、髙橋学長、森川教授=町役場

 住田町と津田塾大学(東京都、髙橋裕子学長)による「連携協力に関する包括協定締結式」は19日、役場町民ホールで開かれた。少子高齢化への対応や交流人口拡大などに迫られる住田町において、学生たちが将来のあり方を学び、研究を深めること地域活性化や人材育成につなげる将来像を描く。関係者は相互の資源や人材の積極活用を見据えており、学生の来訪による新たな交流や、地方自治体が共通して抱える課題解決策の創出などに期待を込めた。

 

相互の資源、人材活用へ


 同大学の森川美絵総合政策学部教授らは平成25年ごろから、東日本大震災被災地における医療・福祉・介護連携分野の支援をきっかけに、住田とのかかわりを強めた。昨年7月には同学部の学生たちが訪れ、住民らと交流を深めながら研修。こうしたつながりを生かして相互連携を行い、住田の地域活性化や大学教育・研究推進につなげようと協定を結ぶことになった。
 締結式には、津田塾大から髙橋学長と森川教授、同大学千駄ヶ谷キャンパスの関口正美事務長、横浜生子専門員が出席。町側では神田謙一町長と菊池孝議長、菊池宏教育長らが臨んだ。
 神田町長と髙橋学長は、杉板でつくられた包括協定書に署名し、連携充実を誓い合いながら握手。神田町長は「住田は日本における将来の課題先進地。一緒に勉強し、より良い仕組み、人材づくりにつなげたい」、髙橋学長は「実践的な学びを行っていきたい」とそれぞれ述べた。
 締結書によると、教育・文化、国際化、地域・まちづくり、人材育成などの各分野で連携協力を展開。相互が持つ資源やネットワークなどを活用しながら、地域社会の課題解決や人材育成を図る。
 町と大学ではそれぞれ、連絡調整に関する担当部署を設置。原則年1回は対話の場を設ける。提携期間は3年間だが、両者から終了の申し出がない限り、満了後も随時更新を重ねる。
 津田塾大は、明治33年に私立の女子高等教育機関「女子英学塾」として創立。東京都の小平市と渋谷区千駄ヶ谷にそれぞれキャンパスがある。
 大学の学芸学部には英文、国際関係、数学、情報科学の各学科、総合政策学部に総合政策学科があり、学生数は2900人余り。このうち本年度開設の同学科では、1年生約160人が学ぶ。
 住田町が、大学組織と協定を結ぶのは初めて。津田塾大は東京都渋谷区や千葉県佐倉市などと結んでいるが、東北の自治体では最初の締結となる。
 髙橋学長は「地方自治体にある豊かな自然や人々の暮らしを継続していくために、今後どういったことがなされるべきかを考えていくことが大切。学生が実際この地に立ち、学ぶ機会をつくることができれば」と語る。