一般会計2%増の47億円、30年度当初予算案/住田町
平成30年2月23日付 1面
住田町は22日、平成30年度の各種会計当初予算案を発表した。一般会計は47億2000万円で、現年度当初比で9300万円(2・0%)の増。「医・食・住」の充実を掲げる神田町政下では初となる予算編成で、検診の受診実績などで付与するポイントに応じて商品券を贈呈する「健康ポイント事業」や、移住希望者向けの空き家改修などを新規事業に盛り込んだ。各種予算案は27日(火)招集の町議会3月定例会に提案される。
「医・食・住」の充実見据え
予算案は、一般会計が47億2000万円で、特別会計が現年度当初比9229万円(4・3%)減の20億4813万円。総額は67億6813万円で、同71万円増とわずかに上回った。
一般会計歳入のうち、69・3%が依存財源。最も多い地方交付税は20億8000万円で現年度と同額。以下、繰入金7億1369万円(現年度当初比17・8%増)、町税4億6436万円(同2・4%増)、町債4億5350万円(同2・7%減)などが続く。
目的別歳出の内訳で最も多いのは、民生費の10億7228万円(同3・5%減)。公債費7億1869万円(同22・4%増)、総務費7億182万円(同7・7%増)、教育費4億7930万円(同14・3%減)などとなっている。
公債費は同1億3000万円の大幅増となっているが、老人福祉施設整備にかかる起債償還が始まることが要因。町は今後数年は同規模が続くとみており、財政運営には厳しい見通しを示す。
予算規模が拡大した要因の一つは、水槽付消防ポンプ自動車整備を含む大船渡地区消防組合分担金で、同6600万円増加。水槽付きの車両を導入することで住宅点在地域や山火事などの初期消火体制充実を図る。
また、放送機器更新を進める計画の地域情報通信基盤整備事業も4300万円上回った。さらに、釜石市、大船渡市と共同で取り組む五葉山石楠花山荘改築の負担金1200万円も計上している。
歳出では、重点事項として「医・食・住」の充実を掲げる。医療分野では、これまで行ってきた保健事業や健康増進事業に加え、医療費抑制に向けた新規事業を展開。病気の早期発見に向け、多くの住民が検診を受けるよう「健康ポイント事業」を始める。
検診受診実績等で付与するポイントに応じ、町内で利用できる商品券を贈呈する。さらに歯周病予防歯科検診も新規実施する。
食分野では、新規就農者の経営支援や組織化支援を、各種補助金で後押しする。農畜産物の生産振興を図るとともに「耕畜連携」の取り組みとして、飼料用作物の生産拡大を進める。食材提供や加工品開発といったビジネス展開も、特産品開発補助や起業奨励金で振興していくことにしている。
住分野では、移住希望者らの住まい確保策として、新たに空き家の改修に着手。町が数棟借り受けて水回りなどの改修を行い、希望者に紹介する流れを描く。
特別会計は、国民健康保険が7億1607万円(現年度当初比20・8%減)、簡易水道事業は1億8989万円(同4・3%増)、下水道事業は8286万円(同4・3%減)、介護保険(保険事業勘定)が9億8430万円(同10・2%増)、同(介護サービス事業勘定)が144万円(同1・7%減)、後期高齢者医療が7357万円(同1・4%増)となった。
就任後初の予算編成について神田謙一町長は、「重点施策とプロジェクトに関するすべての事業においてKPI(重要業績指標)に基づく現状分析と目標達成までのプロセスの検討を行うとともに、『支え合う共生の町』に向けた三つの要である医・食・住を中心とした事業に予算を重点的に配分できるよう、費用対効果の見極めをゼロベースで行い、予算に反映させた」と語った。