船舶修理の効率化図る、岩手大の小山助教と大船渡ドックが共同で水中ロボット開発へ

▲ 小山助教が開発中の水中ロボット=赤崎町

 岩手大学理工学部システム創成工学科の小山猛助教(42)は平成28年度から、大船渡市赤崎町の造船・船舶修理「大船渡ドック」(中野利弘社長)と共同で、修理作業を効率化する水中ロボットの研究を行っている。昨年度は船底の故障箇所などを確認するためのロボットを製作。そこで得た知見をもとに、本年度は海底や船を引き上げる台車の様子を撮影できるロボットの開発を進めており、年度内の完成を目指している。

 

 共同研究は28年7月から開始。市の産学官連携研究開発事業費補助金を活用して行われている。
 修理を依頼された船の底の状況を把握するにはこれまで、潜水士に依頼したり図面上で確認するしかなかったが、小山助教らは陸上でモニターを見ながら船底を確認できるようにと水中ロボットを製作した。
 このロボットは、電気式のモーターでプロペラを回すことで水中を移動するもの。小山助教が一昨年に開発した養殖用水槽などを掃除するロボットの原理を応用した。
 現在、開発を進めているのは船底だけでなく、海底や船を引き上げる台車、レールの様子も確認できるよう用途を拡大したロボット。昨年度開発したロボットの実験結果をもとに、8基あったスクリューを2基に減らしてバッテリー消費量を削減した。
 さらに、前後の移動とその場での旋回が可能になるよう改良。ロボットの小型化と操作性向上を図ったほか、フロート(浮き)を取り付けることで一定の深さを保つことができるよう工夫した。
 操作は陸上でモニターを見ながら行う。カメラの向きを上、水平、下方向に調整することによって船底やレール、海底の状況を確認できる。
 小山助教は23日、同社敷地内で新しいロボットの海中実験を行い、映像が撮れているかなど開発に必要なデータを集めた。
 同助教は「思ったよりもしっかり動いてくれた。大船渡ドックさんが使いやすい機能のロボットを作っていきたい」と話しており、船舶修理作業の効率化に大きな期待が寄せられている。