今も会えば笑顔満開 、3団地合同の「同窓交流会」/住田(別写真あり)

▲ 笑顔で思い出を語り合う出席者=世田米

 東日本大震災の発生を受け、住田町が独自に整備した木造仮設住宅入居者らが集う「同窓交流会」は24日夜、世田米のグリーンベル高勘で開かれた。〝卒業〟して気仙内外で暮らすかつての住民たちや現入居者、仮設住宅を支援してきた町関係者が出席。笑顔を交わし、はぐくんだ絆を今後も絶やさず大切にしていく思いを確認し合った。

 

 木造仮設入居者ら集う

 

 町は発災後、町営住宅跡地の火石(世田米)に13戸、旧幼稚園用地の本町(同)に17戸、旧下有住小学校グラウンドのの中上(下有住)に63戸を建築。平成23年5月の完成当時は、3団地で気仙両市での被災者ら計261人が暮らした。
 その後、入居者の減少や道路整備などに伴い、火石は全戸が、中上も一部が撤去された。現在、被災者の入居は本町が8世帯25人、中上が15世帯32人と、ピーク時の2割ほどとなっている。
 中上団地に隣接する下有住地区公民館や仮設住宅支援を展開している邑サポートは、一緒に過ごした人々が集まり、なごやかに語らう場を設けようと企画。町老人連合会の協力を得て開催することになった。
 交流会には、木造仮設住宅で暮らした被災者や町関係者約40人が出席。
 金野純一下有住地区公民館長は「私たちが呼びかける交流会は、今回で最後としたい。今後は入居した皆さんから発案し、集まってもらえればうれしい」と期待を込めた。
 神田謙一町長らの祝辞後、再会を喜び合って乾杯。懇談に入ると、参加者は顔なじみを見つけては声をかけ、近況を伝え合った。
 中上団地で住居が隣同士だった河野サキ子さん(91)と菊池ミエ子さん(76)は、手を握り合いながら歓談。現在、下有住の戸建て住宅に暮らす河野さんは「あまり外に出ることもないので、久しぶりに顔を見れてよかった」、陸前高田市小友町在住の菊池さんは「こういう風に会えるのが楽しみ」とそれぞれ話していた。
 火石団地で約3年半生活し、現在は陸前高田市高田町の下和野災害公営住宅で生活する高橋司さん(46)も「みんなに会える機会はなかなかないので、仕事も休んで来た。やはりうれしい」と語り、笑顔をみせた。
 仮設住宅暮らしで知り合った入居者や町関係者とは、通信アプリの「LINE」でグループをつくり、今も頻繁に情報のやり取りをしているという。火石団地は全戸が払い下げされたあと、国道340号の改良整備が進み、住民が心を通わせながら暮らした当時の面影はなくなった。
 「仮設住宅団地が消える時間の流れは、復興としてはいいことではある。でも、近くを通ると、やはりさみしい思いにはなるね」とも語る高橋さん。他の参加者も思い出に浸りながらさまざまな感情を巡らせるとともに、独自で整備した住田町の英断と完成後の継続的な支援に感謝を寄せていた。