かさ上げ地で地盤沈下、今泉の区画整理事業区域内/陸前高田

▲ 今泉団地の前の宅地で見つかった地盤沈下=気仙町

 陸前高田市の被災市街地復興土地区画整理事業によって造成された気仙町今泉地区のかさ上げ地の一部で今月上旬、地盤沈下が起きていることが分かった。2月に地権者への引き渡しが行われた区画で、市は早ければ来週にも地質調査などに着手し、原因の究明を急ぐとしている。

 

市が調査し原因究明へ

 

 現在までに地盤沈下が見つかっているのは、同事業で整備されている気仙町今泉地区のかさ上げ地「愛宕下」エリアのうち、95街区(全17画地)にある4画地。先月には、同街区を含め愛宕下エリアの一部である103画地が、権利者と借地人に引き渡されている。
 陥没は95街区を横断するように約40㍍の範囲で見られ、最も広いところの幅は約3㍍。市民が地盤沈下を発見したのを受け、市が3日に確認した。市はこの件を4画地の地権者らに報告のうえ謝罪し、原因究明のための試掘調査にあたることについて了解を得たという。
 同エリアの造成にあたっては、災害公営住宅今泉団地入居者のため、地中に仮設の汚水管を埋設。この仮設管を撤去し、埋め戻しを行った位置と、地盤沈下が起きた箇所はほぼ重なるようになっている。
 地盤調査などにあたる専門家によると、「もともと何かを埋めていてそれを取り除いた部分は弱くなっており、そのことが原因で沈下することはありうる。よほど丁寧に埋め戻さないといけない」という。
 同事業の造成工事は市がUR都市機構に委託し、清水JVが実施。仮に工事の不備であった場合は、施工者負担で補強工事を行うことになる。
 市の担当者は、「まず埋め戻しとの因果関係があるかどうかも含め、できるだけ早く調査を行いたい」とする。
 汚水管は95街区から97街区にかけて埋設(図参照)されていたため、どこまでを調査範囲とするかについても急ぎ検討するとしている。
 95街区では現時点で住宅再建予定の人はいないものの、同エリア全体では家を建てる予定がある地権者もいる。市は25日(日)に愛宕下エリアの別の区画で宅地引き渡し会を予定していたが、「(引き渡し延期の可能性も含め)早めに判断し、地権者の方にご連絡したい」としている。
 また、現時点では区画整理事業において引き渡しされた高田・今泉両地区の高台部や、ほかのかさ上げ部ではこのような地盤沈下は見つかっておらず、地権者からの指摘などもないという。
 復興局の熊谷正文局長は「皆さんの不安を取り除くためにも、何が原因か突き止めてしっかりご説明したい。こうしたことが二度とないよう、今後は慎重に慎重を重ねたうえで宅地を引き渡したい」としており、調査結果については地権者へただちに知らせるとともに、市議会への説明機会も設けるとしている。