53年の校史に幕下ろす、市立第一中学校の閉校式/陸前高田(動画、別写真あり)

▲ 6人の生徒が第一中での思い出を発表=高田町

 陸前高田市立第一中学校(小野寺哲男校長、生徒246人)の閉校式は19日、同校体育館で行われた。本年度で53年の校史に幕を下ろし、来年度には気仙中学校(熊谷佳美校長、生徒50人)と統合して市立高田第一中学校となる同校。出席した生徒たちは、母校の歴史と伝統を胸に、4月からは新しい学校で校史を紡いでいこうとの思いを新たにした。

 

歴史と伝統を胸に、来年度に気仙中と統合

 

 第一中は昭和40年、高田中と竹駒中の統合により誕生した。翌41年には下矢作中が加わり、東日本大震災後には学区再編に伴い矢作中と横田中がそれぞれ統合。校訓は「明朗 自主 創造」で、創立51年目の平成27年11月には創立50周年記念事業を実施するなどしている。
 式には、最後の卒業生となった3年生を含む全校生徒と教職員をはじめ、市の関係者、学区内のコミセン、学校関係者らが出席。国歌と市民歌を斉唱したあと、戸羽太市長が「これまで築き上げてきた歴史と、培われてきた伝統は決して絶えることなく、末永く受け継がれていくものと確信している。第一中は53年の歴史に幕を下ろすことになるが、生徒の皆さんはこの伝統ある第一中で学んだことに対して大いに誇りを持ち、次の世代を担う若者としてさらに精進を重ね、地域社会に貢献する人材になることを心から期待している」と式辞を述べた。
 続いての告辞で金賢治教育長は、体育館の後方に掲げられている校訓を改めて読むよう生徒たちに促した。
 そのうえで、「皆さんには、夢を抱きながらたくましい未来をつくっていってほしい。第一中の校風や伝統を心に宿しつつ、4月から開校する高田第一中学校の新しい校風を、多くの仲間と心を合わせながらつくり上げていってほしい」と呼びかけた。
 小野寺校長はあいさつの中で、受けた恩を別の人に送る「恩送り」という考えのもと、生徒会活動として「つなぐプロジェクト」を実施してきたことに言及。「生徒たちは、自分たちの活動を応援してくださる多くの方々に心から感謝しつつ、さまざまな活動にやりがいと充実感を持って取り組んできた。私は地域とともに歩む第一中生の美しい姿を心から味わっている」と生徒たちの様子を誇らしげに紹介した。
 また、創立50周年記念事業の一環として発行された記念誌に寄せられた同窓生の言葉も引用し、「中学時代の友人は、何年たっても変わらず励まし合える間柄になる。失敗を含めた学びやでの経験を糧として、卒業生たちも今を精いっぱい生きている。第一中はその幕を下ろすが、今まで受け継がれてきた『明朗 自主 創造』の校訓のもと、1、2年生は新たな高田第一中学校でも、地域に愛される学校として新入生と共に歩みを進めてほしい」と期待を寄せた。
 伊藤明彦市議会議長と、沿岸南部教育事務所の髙橋邦尚所長が来賓を代表してあいさつしたあと、県PTA連合会の五十嵐のぶ代会長が金野良則同校PTA会長へ感謝状を贈呈。
 6人の生徒が、各種行事の思い出や、力を入れて取り組んできた伝統、多くの支援を受けた震災後の歩みを発表し、生徒全員で童謡『ふるさと』を合唱した。
 最後に、生徒会長の村上慶君(2年)から小野寺校長へ、小野寺校長から金教育長へ校旗を返納。これまでに何度も練習を重ね、慣れ親しんできた校歌で閉校式を締めくくった。