植樹など盛り込みツアー、リンゴを交流の足がかりに/陸前高田(別写真あり)

▲ 植樹作業の合間には地元住民との交流も=米崎町

 陸前高田市の米崎りんご交流活性化推進協議会(大和田貴史会長)は新年度、同市の特産品として人気が高い「リンゴ」を通じた交流人口の拡大を目指し、都市部からのツアー開催などを企画している。17日にはそのパイロット(試験的)イベントとして同市米崎町でリンゴの植樹会を行った。首都圏などから訪れた旅行者らが参加し、リンゴの成長や同市の農業振興を願うとともに、地元の人たちと交流を深めた。

 

生産者らが企画


 「米崎りんご」の名で知られ、外部のファンも数多いながら、全国的にみると生産量が少ない同市産リンゴを、〝まちの宝〟として育てていこうと発足した同協議会。若いリンゴ生産者と市農林水産部農林課、米崎わい化りんご生産組合といった関係機関のメンバーで構成され、NPO法人LAMP(松本玄太代表理事)が事務局を務める。これまでも米崎りんごを使ったイベントを開くなどし、作物を通じた地域活性化に取り組んでいる。
 29年度は農村部と都市部の交流事業にも着手。農林水産省の農山漁村振興交付金を活用して30年度からの本格実施することを目指し、今回は2泊3日の日程で陸前高田へのツアーを企画した。
 16~18日にかけて行われたツアーには首都圏や関西から7人が参加。このうち17日にはLAMPが借りている同町のリンゴ園を訪れ、植樹作業を手伝った。この農園は以前管理していた人が亡くなったあと果樹を伐採するなどして栽培規模を縮小していたが、同法人が生産量拡大のため改植や定植を行っている。同日は春紅玉、ジョナゴールド、早生品種のふじの計13本を新たに植えた。
 作業の休憩時間には、畑の隣に住む新沼三津子さんが、自家製の「気仙茶」の紅茶や郷土菓子の「なべやき」をふるまい、参加者らと談笑。昼休みにも、畑の持ち主をはじめ近隣住民らが一緒にバーベキューするなどし、普通の旅行では味わえない地元の人たちとの交流も積極的に盛り込まれた。
 東北への旅行は初めてという永橋風香さん(16)=兵庫県宝塚市=は、今も復興工事が続く被災地に衝撃を受けつつも「いただいたリンゴスイーツがとてもおいしくて、早く生のリンゴも食べてみたいです」といい、リンゴの成長に期待。「また来ようと思う」と笑顔を見せた。
 松本代表理事(40)は「実がなるようになったら収穫体験などで再訪してもらうなど、長い付き合いになっていけば。ツアーに限らず、『また来たい』と思ったときにいつでも訪ねてもらえるような関係性と受け入れ態勢をつくっていきたい」と話し、地域住民と旅行者の間に個人的な結びつきがはぐくまれていくことを願った。