〝マイ天板〟これからも、町内小中学校で木製学習机の移動作業/住田(別写真あり)

▲ 天板の交換作業にあたる児童たち=世田米小

贈呈を受けた荻原君は笑顔で下校=同

 住田町内の小中学校で23日、町内産木材でつくられた学習机の移動や天板交換作業が行われた。取り外し可能な天板は、新学年になっても同じ児童生徒が使用し、卒業時には一緒に巣立つ計画。作業にあたった子どもたちは大切に使う決意を新たにするとともに、新年度の学校生活への期待を膨らませていた。
 「森林・林業日本一のまちづくり」を掲げる同町は、平成27年度に木いくプロジェクト推進委員会を発足。以前から各学校では町内産スギ材による学習机といすが使われていたが、15年以上が経過して劣化が進んでいた。同委員会では「ふるさと納税」などを財源とし、28年度に新調した。
 新たないすや机の脚部分には「まわし組」という技法を採用。使用時の負荷が各部材に循環するように脚が組まれ、見た目の美しさと強度を両立させた。
 また、机の天板部分は交換可能で、中学校卒業時に使用した生徒に贈呈される。手仕事でこだわり抜いた木製品を子どもたちが大切に扱い、卒業後も地域の誇りを自分の財産として活用してほしいとの期待が込められている。
 世田米小学校(佐々木英雄校長、児童128人)では23日、離任式終了後に児童たちが机の移動作業を行った。新しい学年の教室に机を運んだほか、身長が伸びて脚部分の大きさが合わなくなった児童は、ひと回り大きい脚に自らの天板を取り付けた。
 4月から5年生となる佐々木暖真君(10)は「これまで使っていた机の脚は、座ったときに太ももがつくようになっていた。天板は使いやすかった。これからも大事にしていきたい」と話していた。
 また、離任式には卒業式を終えた6年生も参加。多くの児童たちは世田米中に進学後も天板をそのまま使うが、4月から陸前高田市立高田第一中学校に通う荻原悠吾君(12)=横田町=には贈呈された。
 1年間利用した天板を大事そうに抱えた荻原君は、「5年生まで使っていた机よりもスベスベしていて、勉強しやすかった。お父さんに頼んで、この天板で勉強できる机をつくってもらう」と語り、笑顔を見せた。
 同日午後は両小学校に町教委関係者が出向き、新1年生が使用する机に新たな天板を取り付けた。
 現時点で、世田米小には19人、有住小には6人が入学を予定している。