防災観光交流センター完成、市街地のにぎわい拠点へ/大船渡市

▲ 大船渡駅前に完成した市防災観光交流センター=大船渡町

 大船渡市大船渡町のJR大船渡駅前に、市の新たな公共施設「防災観光交流センター」が完成した。21日に施工業者から市へ建物が引き渡され、今後は備品搬入やセンターの指定管理者となる一般社団法人市観光物産協会(齊藤俊明会長)との利用に関する協議を進める。竣工を祝い、市は4月28日(土)に「第3期まちびらき」を開催する計画。中心市街地の新たな交流、にぎわい拠点としてのセンター活用が期待される。

 

4月28日に「第3期まちびらき」

 

 同駅周辺地区は、7年前の東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けた。市は被災市街地復興土地区画整理事業を導入し、JR大船渡線より山側を居住地区、津波復興拠点整備事業区域を中心とした海側を商業・業務機能の集積地に位置づけて市街地の形成を進めている。
 防災観光交流センターは、津波復興拠点整備事業区域内の同駅北側に整備。利用目的は平常時と緊急時、合わせて5項目を設けた。
 平常時は、▽地域づくり(子どもや子育て世代の交流、高齢者の憩い、市民活動、情報発信の場)▽津波伝承(次世代に災害の教訓を伝え、防災力を高める学びの場)▽観光交流(大船渡の魅力を伝える観光総合案内)▽都市間交流(震災を機に生まれた交流を育み、互いの未来をつくる場)──の4点。災害時は、「万が一のときの一時避難場所」と位置づけている。
 工事業務は、平成24年に市と「東日本大震災に係る大船渡市復興事業の推進に関する協力協定」を締結した、独立行政法人都市再生機構(UR)に委託。設計は㈱NTTファシリティーズ、監理は㈱日東設計事務所、施工は東急建設・明和土木特定建設工事共同企業体(JV)が担当した。整備費は19億3700万円。
 敷地面積は5648平方㍍。施設は鉄筋コンクリート造3階建てで、延床面積は3200平方㍍。このうち1階ピロティと3階休憩スペース、屋上スペース等を除く室内床面積は1842平方㍍で、屋上までの高さは17・35㍍ある。屋外には、芝生の多目的広場(面積2125平方㍍)や駐車場も設けた。
 施設1階には、観光交流スペースやピロティを配置。交流スペースは市内の観光案内や情報発信、地域住民らの憩いの場としての利用を見込む。
 2階には、多目的室や和室、喫茶・給湯スペース、会議室、自習スペース、展示室、スタジオ、授乳室を設けた。移動可能な遊具も導入し、子どもたちや子育て世代が集える場にするほか、災害の教訓や津波発生時における避難の重要性を広く伝える場としても活用する。
 3階には、大船渡湾を望みながら休憩できる展望デッキを設置。災害時には、高台へ逃げ遅れた場合の緊急避難場所にも位置づける。
 28年12月に着工。工事は順調に進んで予定通りに完了し、21日には施工業者側から市へ建物が引き渡された。
 センターの管理業務は、指定管理者制度を利用して民間へ委託。公募の結果、市観光物産協会に決定した。指定期間は30年4月1日から3年間。
 センター内へは当面、一般の立ち入りを禁止し、備品搬入といったオープンに向けた準備を進める。また、市と指定管理者間で本格的な供用に向けた施設利用のあり方、具体的な開始時期を協議していく。
 同駅周辺では、小売りや飲食店などの商業施設、ホテルなどが営業し、30年度にはワインの醸造所、椿茶などの工場もオープンを控える。
 市は今後、指定管理者や周辺の商業者と連携し、センターの有効活用や中心市街地におけるにぎわい創出を図っていきたいとしている。