サル対策で初の複合柵、被害防止へ技術実証/住田町

▲ カボチャ畑を囲むように複合柵を設置=五葉地区

五葉地区内の畑に

 

 住田町鳥獣被害防止総合対策協議会(佐々木春一会長)は、ニホンザルの被害対策を目的とした初の複合柵設置を五葉地区で進めている。「ワイヤーメッシュ」と呼ばれる鉄製の柵と電気柵を組み合わせたもので、シカやカモシカ、イノシシにも対応が可能という。町は新年度以降、設置効果や整備コストなどを検証する。
 近年、五葉山周辺に生息するニホンザルが人里に現れ、集団で行動し、農地被害が増加。被害作物は大豆やサツマイモ、カボチャ、トマト、イチゴ、タマネギなど広範に及ぶ。
 鳥獣被害は営農意欲の減退や耕作放棄地の増加にもつながるとされ、被害作物量や金額以上に深刻な影響を及ぼす。同協議会では本年度からサル被害対策に本格的に乗り出し、これまで研修会などを開催してきた。
 五葉地区での技術実証は、国の補助を受けて実施。県道釜石住田線沿いに位置する約40㌃のカボチャ畑を取り囲むように、複合柵の設置を進めてきた。
 高さ約1㍍50㌢の鉄製の柵の上部に、電気柵を取り付け、よじ登っての侵入を防ぐ構造。これまでの電気柵では、電流が通っていない支柱部分を登って畑内に入るといった行動がみられた。
 ワイヤーメッシュ状の柵は西日本では多く設置されている半面、気仙でのサル被害を目的とした設置は例がないという。ニホンザルのみならず、本年度住田町内で捕獲されたイノシシにも対応した構造となっている。
 今後はカボチャの生産と合わせ、センサーカメラを導入する計画。実際にサルの行動変化などを確認することにしている。
 サル被害防止対策は、地域ぐるみでの活動が重要とされる。複合柵に関しては、設置時の住民負担や費用、景観への影響なども考慮しながら、よりよいあり方を探る。協議会の事務局がある町農政課では「各生産者がすでに持っている資材を、柵設置に活用できるかといった点でも検討していきたい」としている。