気仙の変動率下落、移転需要の落ち着きなどで/30年の公示地価

 土地の取引価格の指標となる平成30年公示地価が発表された。宅地、商業地などを合わせた全用途の地価変動率は、大船渡市がマイナス0・2%(前年0・0%)、陸前高田市がマイナス0・5%(同0・0%)で、横ばいから下落に転じた。沿岸部の住宅地は平均変動率がマイナス1・1%(同マイナス0・8%)となり、2年連続で下落。復興事業の進ちょくに伴う移転需要の落ち着きをはじめ、少子高齢化や人口減少などの影響による土地需要の低迷を反映した形となった。


 

地価公示は土地取引や公共事業補償算定の指標とし、適正な地価形成に役立てるのが目的。国土交通省土地鑑定委員会が毎年1月1日時点で全国の標準地を調べ、都道府県を通じ発表している。
 気仙で調査対象となった標準地は、大船渡市が住宅地3地点、商業地2地点、陸前高田市が住宅地3地点の計8地点。
 住宅地、商業地など全用途の平均変動率は、都市環境の整備が進む一部の内陸地域で上昇したものの、少子高齢化や人口減が進む市町村では土地需要の低迷により横ばいまたは下落となった。
 住宅地の平均価格(1平方㍍当たり、以下同)と前年からの平均変動率は、大船渡市が3万2600円、マイナス0・4%(前年0・0%)で、陸前高田市が2万円、マイナス0・5%(同0・0%)で、横ばいから下落に転じた。
 大船渡市は住宅地・商業地合わせて5地点のうち、「大船渡町下平19番6」が2万4500円、マイナス1・2%(同0・0%)、陸前高田市では「高田町字中田77番4」が1万4500円、マイナス1・4%(同0・0%)と、それぞれ下がっている。
 県全体の状況をみると、住宅地128地点の平均価格は3万2600円(同3万2600円)となり、平均変動率は前年のマイナス0・4%からやや拡大してマイナス0・6%で17年連続の下落。
 1平方㍍当たりの最高価格地点は前年と同じ「盛岡市加賀野1丁目42番4」(1平方㍍当たり8万2400円)で、前年からの変動率は1・0%。
 商業地53地点の平均価格は6万7000円。平均変動率はマイナス1・7%(同マイナス1・8%)で25年連続のマイナス。
 調査対象の20市町村のうち、盛岡市は上昇し、大船渡市は横ばいだったが、このほかの18市町村で下落した。
 沿岸部の商業地の平均変動率はマイナス2・1%(同マイナス1・4%)で4年連続の下落。復興事業の進ちょくに伴う復興関連事業者の撤退などによる土地需要低迷や、中心市街地の商店街の空洞化が影響したものとみられる。