新・陸前高田駅が1日開業、JR大船渡線BRT

▲ まもなく開業を迎える新駅舎=高田町

震災前のJR陸前高田駅

 JR東日本盛岡支社が陸前高田市高田町の新しい中心市街地に整備した大船渡線BRT「陸前高田駅」が、4月1日(日)に開業する。建物は東日本大震災前にあった駅舎を模しており、市街地の新しい〝顔〟となるだけでなく、かつてのまちの記憶をたどることができる数少ないよすがにもなる。復興工事の進展に伴う駅の移設などにより、同日は同町内に新しく「栃ヶ沢公園駅」「高田病院駅」「高田高校前駅」も誕生し、高台部とかさ上げ部を通るルートが大きく変化する。

 

中心市街地の〝顔に〟、旧駅舎模し震災前の面影残す

 

 震災後の平成27年3月に設置された現在の陸前高田駅は、高田町字栃ヶ沢地内の市コミュニティホール向かいにあり、市役所仮庁舎や災害公営住宅栃ヶ沢アパートにほど近い。〝かまぼこ〟型の近未来的な外観が特徴となっている。
 一方、同町のかさ上げ地に新しい中心市街地が形成され、さまざまな公共交通のターミナルとなる「交通広場」も合わせて整備されていることから、市がまちなかへの駅移転を要望。昨年12月に建築工事が着工した。
 新しい陸前高田駅は鉄骨平屋建てで、延床面積は約90平方㍍。駅舎には、木のぬくもりが感じられる待合室に、男女別のトイレと多機能トイレを一つずつ設置。事務室のほか、切符販売窓口(みどりの窓口)も設けられる。
 淡い緑色の屋根やペールトーンの壁など、以前まちの中心部にあった旧駅を模したデザイン。市は「新しい中心市街地に、震災以前のまちを思い出させる駅舎が再建されることは、市民にとっても、陸前高田を訪れる人たちにとっても大切なこと」とし、まちなかへの施設移転と併せ外観の設計についてJR側に要望していた。
 大津波で被災した大船渡線の駅舎のうち、同市の竹駒駅や脇ノ沢駅、小友駅、大船渡市の細浦駅、下船渡駅、大船渡駅などは一般的なバス停留所のような形で復旧され、ガラス張りの待合室などが設けられたが、震災前の駅舎をイメージして再建されたのは陸前高田駅のみとなる。
 震災前、同駅前通り商店街で店を営んでいた小笠原弘子さん(81)は、「高田の町はまるっきりなんにもなくなってしまったから、(同町大町に復元された)かぎ型道路とか駅とか、思い出の場所が戻ってくるのはいいものだと思う」と話し、駅舎の〝再現度〟にも驚いている様子だった。
 新駅は4月1日の始発便に合わせ、午前5時ごろに開放。みどりの窓口は日、月、水、金曜日の午前10時〜午後1時、午後2時〜5時20分の営業となる。
 なお、新駅開業に伴い、現在アバッセ前にある「まちなか陸前高田駅」は31日(土)で廃止される。また、同支社では1日、市役所仮庁舎近くにバスポールを置いて「栃ヶ沢公園駅」を新設するほか、「高田病院駅」を米崎町字野沢から高田町字太田の同病院移転地付近に、「高田高校前駅」を中心市街地から同町の高台⑦へと移設する。