モビリア 市が管理者に、30年度も営業休止/陸前高田

▲ 昨年12月から宿泊者の受け入れを休止しているオートキャンプ場モビリア。今もテントサイトに仮設住宅が立つ=陸前高田市

 県が陸前高田市小友町に整備したオートキャンプ場モビリアは、利用者の激減などを背景に昨年12月から営業を休止している。県から運営を受託する同市の第3セクター・陸前高田地域振興㈱(佐藤忠広社長)は、平成29年度で指定管理者契約を満了。契約更新は行わず、新年度からは市が管理者となるが、営業は休止される。一方、敷地内には今も仮設住宅団地があり、キャンプ場本来の設備維持や敷地内の巡視なども引き続き必要であることから、市は4月以降、同社に管理の一部を再委託する見通し。仮設の撤去・集約化が図られたあとの利用再開について、市商工観光課は「今後も県にリニューアルの必要性を訴えかけていく」としている。

 

地域振興の指定期間終了、施設巡視等は市が再委託へ

 

 モビリアは県が平成11年に開設したキャンプ場。およそ22万4000平方㍍の敷地に、売店などがあるセンターハウスとテントサイト、冷暖房や水回り設備を完備したケビンなどを設置。海岸もほど近い自然豊かなレジャー施設として、年間平均およそ1万3000人が訪れる同市の観光拠点の一つだった。
 23年の東日本大震災後は、避難所として利用されたのち、テントサイトや駐車場には一戸建てタイプと長屋タイプの仮設住宅合計168戸が建設され、市内最大級の仮設住宅団地となった。
 一方、ケビンやドームハウスは復興に携わる工事関係者や行政職員らの宿泊施設としても利用され、24年には約1万人が利用。25年度は214万円の営業利益を計上した。
 しかし、その後、利用者は減少の一途をたどった。28年度は震災前の4分の1以下となる3000人弱まで落ち込み、赤字となった。
 同社は経営の大きなマイナス要因として、長期宿泊者が大幅に減ったことなどを挙げ、「一般客向けの周知を行ったが、施設老朽化による不具合が頻繁に発生したことと、仮設住宅との共同使用といった事情から、オートキャンプ場としての営業が困難で、売上獲得までには至らなかった」とする。
 29年度は長期宿泊者の確保などに努めたが、利用者が前年を大きく割る状態が続いて採算がとれなくなり、経営を圧迫。このため、同社は県に宿泊者の受け入れ停止を申し出、12月から営業を休止した。期間は未定だが、同団地の撤去・集約化が図られる31年度いっぱいは休止するものとみられる。
 同社が指定管理者として業務にあたるのは31日までで、4月からは新たに市が管理者となる。宿泊者の受け入れを行わない間も、センターハウス周辺の草刈り、既存施設の戸締りや用水ポンプの点検といった巡視は必要であるため、市は県からの助成を活用し、同社にこうした管理業務を再委託する計画。仮設住宅団地そのものの保守管理については、これまで通り(一財)県建築住宅センターが担う。
 利用再開のめどに関し県観光課の担当者は、「今後の運営については、休止している間に市などと相談していきたい」としているが、市は老朽化した建物の修繕などを含め、リニューアルへ向けた再整備を求めていく考えだ。
 同社の佐藤社長は、「20年近くもいろんな方に来ていただき、この地域の観光振興の一端を担ってきた施設。リニューアルしキャンプ場として再開できるときが来たら、またお手伝いしたい」と語った。