「夢アリーナ 」10日に開所、陸前高田に再建の体育施設(動画、別写真あり)
平成30年4月4日付 1面

陸前高田市の新しい体育・文化施設である市総合交流センター(愛称・夢アリーナたかた)は10日(火)に正式オープンを迎える。プールのみ、開放は5月以降となるが、そのほかの施設は同日から利用可能に。今後はスポーツ大会の開催、市民の健康づくり活動だけでなく、各種式典や全国太鼓フェスティバルなどのイベント会場としても利用が見込まれ、市内外の人々の多彩な交流を可能にするものと大きな期待が寄せられる。同施設で働くことになった職員たちは「市民から愛される場所にしたい」と意気込み、開所へ向けて着々と準備を進めている。
幅広いイベントに対応/交流人口増加にも一役
夢アリーナたかたは、バスケットボールコート2面、バレーボールコート3面がとれ、2階に観覧席を擁するメーンアリーナ(多目的ホール)と、被災した市民体育館の災害復旧部分にあたるアリーナ、B&G海洋センター(プール)などで構成。このほか柔道・剣道場、トレーニングルームやフィットネスルームなど、運動に関する設備が一通りそろう。
3月にはプレオープンイベントとして、東京六大学バスケットボールリーグ戦や車いすバスケ体験が行われたほか、東日本大震災追悼式典でも利用。足を踏み入れた市民からは「こんな立派な施設ができるなんて、本当に〝夢〟のよう」と喜びの声が聞かれた。
運営管理はNPO法人陸前高田市体育協会(金野廣悦会長)が担い、1日には同施設で新採用職員に対する辞令交付式を実施。協会の理事らが見守る中、金野会長が一人一人に辞令を手渡した。
「素晴らしい職員を採用できてうれしく思う。施設完成後に夢アリーナを見たとき、その大きさに興奮した。屋根は霊峰・氷上山や波、躍動感を表しているようであり、陸前高田の発展を意味しているようにも感じられた」と金野会長。
「健康づくりの拠点施設として、多くの人に来てもらいたい。災害時は避難所にもなる場所であると同時に、文化施設でもあり、市の新しいシンボル。ここで働くというのは、とても意義深いことだと思う。利用者に喜んでもらえるように施設を運営していこう」と採用者に呼びかけた。
この日辞令を受けたのは、施設運営管理にあたる及川悟さん(59)、受付事務の高橋利亘さん(24)と遠藤紗来さん(22)、プールなどのスポーツ指導員を務める髙橋大輔さん(35)、菊谷一平さん(35)、榊原麻緒さん(28)、脇坂美秋さん(23)、佐藤桃香さん(20)の計8人で、いずれも同市出身。
中には震災前にもB&Gでプール指導員をしていた職員もおり、震災後は市教委をはじめ、それぞれ別の場所で働いていたという。「プールが再建されるのを楽しみにしていた」と話すなど、個々に施設誕生を喜ぶ。
自身もソフトテニスの現役選手として活躍する及川さんは、「多くの市民が集い、健康的に汗をかき、笑顔でいっぱいになってもらうのが夢。すべての方々に『ここを使って本当によかった』と心から満足していただけるよう、粉骨砕身の覚悟で鋭意努力していきたい」と、力強く抱負を述べた。
また、大船渡東高校出身の佐藤さんは同校太鼓部の部長も務めた。現在は同市の秋を彩る恒例行事「全国太鼓フェスティバル」実行委員会の一員として、イベントを盛り立てる。今年から太鼓フェスの会場ともなる同アリーナ。多目的ホールのステージは、大きな太鼓も搬入しやすいような設計となっており、佐藤さんも利用を楽しみにしている。
「小さいころから体を動かすのが好きだった。太鼓部では後輩を指導していたことで、人を育てる難しさや楽しさを学んだし、それらを(職業に)生かしたかった」と応募動機を語った佐藤さん。「地域の人に愛されてほしいのはもちろん、日本全国の人、世界中の人に陸前高田を知ってもらえるよう、そのきっかけをつくる場所にしていきたい」と目を輝かせた。
同センターは10日午前9時からオープン式典を実施。同日は午後から一般利用できる。申し込みは利用日の3カ月前から可能だが、月曜日は休館となる。問い合わせは同センター(℡22・8448)まで。