注目集める〝にぎわい拠点〟、居場所づくりのカフェ事業/住田町(別写真あり)

▲ 高齢者らが和やかに過ごす中心型よりあいカフェの「しょうわばし」=世田米

 住田町地域包括支援センターと町社会福祉協議会が平成27年度から新規・重点事業として展開し、住民交流や居場所づくりを目指す「よりあいカフェ」の利用者が伸びている。世田米商店街内に設置した中心型の「しょうわばし」は開設3年目の29年度、1日あたりの平均利用者が40人を突破。介護保険サービスだけに頼らない健康保持といった面でも、充実ぶりが広く注目を集めている。

 

「よりあい」着実に浸透、介護予防の一助にも

 

 よりあいカフェ事業は、誰もが気兼ねなく寄り合える場を町内に設け、日中に一人で過ごしがちな高齢者や障がい者らの居場所づくりを図る取り組み。利用者間やボランティアとの交流を通して生きがいを見いだし、介護予防と社会参加を推進する目的もある。
 町内の小地域単位で設ける「地域型」と、「中心型」の「しょうわばし」「あんるす」「なるせ」に分かれる。中心型は同センターと社協、一般社団法人・邑サポート、地域ボランティアらが連携し、運営している。
 中心型のうち、気仙川に架かる昭和橋の突き当たりに位置し、商店街沿いの旧中里水道屋を活用している「しょうわばし」。27年6月のオープン以降、毎週火曜日に開設している。
 29年度の利用者実績をみると、年間開設回数は49回で、利用者総数は1968人。1回あたりの利用者数は40・2人だった。
 運営1年目だった27年度の利用者平均は31・2人で、28年度は35・7人。初年度から60~90代の地域住民らが訪れ好評を博していたが、開設を重ねるごとに活気の輪が広がっている。
 午前9時~午後4時に開設し、昼食もとって一日中過ごす利用者もいれば、空いた時間に顔を出してボランティアらとじっくり会話を交わす光景も。女性陣は手芸やカラオケなどで交流を深め、男性陣は将棋の対局などを楽しむ。
 町社協の菅野英子総務課長補佐(56)は「『あそごさ行くと楽しいっけ』といった感じで、口コミで居心地の良さが伝わっている」と語る。さらに、運営を支える地域住民ボランティアも楽しく参加できるのが、活気につながっていると分析する。
 カフェ利用に合わせて近隣商店で買い物をしたり、出前をとるなど、商店街の活性化にも貢献。通院後に立ち寄り、バスの時間まで過ごす来訪者も。「家にいれば、一人でテレビをみるだけだから」といった声も多く聞かれ、健康保持にもなる外出機会創出や社会参画にもつながっている。
 充実ぶりが町外にも広まり、昨年度は行政や福祉関係者の視察も目立った。住田高校生のボランティア活動に加え、夏休みや冬休みには小学生も足を運び、世代間交流の場に。さらには社会福祉士資格取得に向け、県外の大学生も実習の一環で訪れる。
 介護保険の各種サービスを利用している高齢者の中には、デイサービスの回数を減らし、よりあいカフェの来訪に充てるといった動きも。全国的に介護保険料は上昇傾向が続き、住民生活や行政運営への影響が増大する中、負担抑制の一助にもなりつつある。
 同じく中心型で28年6月から始まった上有住の「あんるす」は毎週日曜日午前に福祉施設・アンルスで開催。29年度は開設42回で、総利用者は383人。1回あたりの利用者は9・1人だった。
 29年4月にオープンした中心型の「なるせ」は毎週木曜日午前に、下有住地区公民館で開設。開催回数は43回で、総利用者は685人。1回あたりの利用者数は15・9人だった。
 地域型カフェは前年度、民家や集会所、自治会館など13カ所で開設。地域住民が運営を担い、それぞれ月1、2回のペースで開催した。各会場合わせた運営者は56人で、計195回開催。参加総数は延べ2350人で、1回あたりの参加者は12人となっている。