市民が「友好の翼」結団、クレセントシティ市訪問へ/陸前高田

▲ 市民ら21人による訪問団が米国を訪問する=陸前高田市役所

 陸前高田市が姉妹都市提携締結を計画する米国クレセントシティ市への市民訪問団「友好の翼」結団式は4日、陸前高田市役所で行われた。陸前高田市国際交流協会の長谷川節子会長(66)を団長とする訪問団は、クレセントシティ市について理解を深め、市民との相互交流を図るべく15日(日)に渡米。現地では協定調印式も計画されている。

 

姉妹都市提携目的に


 東日本大震災で被災した県立高田高校の実習船「かもめ」が、太平洋を7600㌔以上にわたって2年間漂流し、米国カリフォルニア州デルノーテ郡にあるクレセントシティ市の浜辺に打ち上げられたことを縁に交流が生まれた両市。同市のブレイク・インスコア市長らはかねて、「陸前高田とより強固な友好関係を築きたい」と姉妹都市提携を提案していた。
 陸前高田市はこれを受け、双方の関係発展に寄与する意思がある市民を募集。戸羽太市長と市職員、市議を含む21人が参加することになり、「陸前高田市・クレセントシティ友好の翼」として海を渡る。
 結団式では、戸羽市長が「インスコア市長から、『かもめが流れ着いたのは、偶然ではなく必然』と言っていただいている。かの市も津波に遭った経験があり、漁業をなりわいとする人も多いなど、本市との共通点が多々ある。形骸的な協定ではなく、中身ある姉妹都市にしたい。今回、皆さんには歴史的な場面に立ち会っていただくことになるのかなと思う」とあいさつした。
 役員選出では、団長に長谷川会長を選出したあと、広田湾漁業協同組合の砂田光保組合長を副団長に、NPO法人まあむたかたの坂下睦美さん、菅野定市議を監事に指名。訪問団の規約や旅程、現地情報などを確認した。
 また、同市の国際広報役を務めるVIGOR JAPAN代表理事のアミア・ミラーさんはオンラインで会議に参加し、「クレセントシティと陸前高田は、互いに鏡を見るかのようによく似ている。太平洋の反対側に自分たちのまちがあるものと思って間違いない」などと説明。アメリカと日本の歴史・文化の違い上、配慮すべきマナーなどについても注意を呼びかけた。
 「友好の翼」は2日間にわたって現地の産業や歴史について学び、市民と親ぼくを深める予定。現地時間16日夜には交流祝賀会が行われ、席上でインスコア市長と戸羽市長が協定書にサインする計画。
 同市では、高田町にあった「海と貝のミュージアム」へのオオジャコガイ寄贈を縁に、平成6年にもパラオ共和国への市民訪問団「陸前高田市・パラオ友好の翼」を結成。
 当時も訪問団に参加した長谷川会長は、「まだあちらがどんなところか想像もつかないが、地元の人たちの暮らしを見てみたい」と話し、市民同士の良好な関係が構築されることを願っていた。