高田松原にマツ苗木植栽、本年度1万4500本を計画/陸前高田(別写真あり)

▲ 「丈夫に育ってね」。願いを込めながら作業に当たった高田高の生徒=陸前高田

あす震災7年1カ月

 

 東日本大震災の津波で壊滅的被害を受けた陸前高田市の高田松原で8日、地元のNPO法人・高田松原を守る会(鈴木善久理事長)による本年度1回目の再生植樹祭が行われ、市民らがマツの苗木約800本を植えた。現地への植栽は昨年度本格化し、2年目の本年度は同会と県が計約1万4500本を植える計画。震災発生からあす11日で7年1カ月。植栽作業に当たった県内外の参加者が国の名勝復活への願いを込めた。

 

再生活動2年目が始動

 

 植樹祭には、市民のほか、陸前高田、大船渡西、盛岡各ロータリークラブの会員、秋田県のボランティアなど約160人が参加した。
 この日植えられたのは、大分県の種苗業者が種子を提供し、山形県酒田市の北庄内森林組合が2年かけて育てた松くい虫抵抗性クロマツ約800本。
 植栽地は前日までの雨でぬかるんでいる箇所も多く、参加者は足を取られるなど悪戦苦闘しながら、高さ30㌢ほどのコンテナ苗を丁寧に植えた。浜風から守るため、高田松原を守る会がボランティアの力を借りて制作した竹簀(す)を苗木のそばに立て、竹簀にはそれぞれ「大きく育ってね!」などと願いを記した。
 高田高校美術部員約10人も作業に参加。同部の吉田奈央さん(3年)は「震災前の高田松原の景色は、うっすらとだが覚えている。枯れないで、丈夫に育って立派な松林になってほしい」と植えた苗木に願いを託した。
 震災の津波で「奇跡の一本松」のみを残し、約7万本あったとされるマツがすべて流失した高田松原。平成31年度までの3カ年で、県が盛り土した造成地約8㌶にクロマツとアカマツ合わせて4万本を植栽し、かつての高田松原の遺伝子を受け継ぐ600本も植える。
 本年度は県が約1万1000本、守る会が約3500本を植える計画。同会は今回を皮切りに6月までに計4回再生植樹祭を開催する。
 昨年度、同会が植えた苗木約3000本はスクスクと成長。同会の活動を継続的に支援する一般財団法人・日本緑化センター(東京都)企画広報部の小山直人次長は「枯死したのは3000本のうち、たったの5本。たくましい生命力で本当に驚いた。多くのボランティアが作った竹簀が大きな役割を果たしていると思う」と話していた。
 鈴木理事長は「植樹祭には地元はもちろん、県外のボランティアも駆けつけていただき、ありがたいの一言」と感謝し、「みんなから愛される高田松原を目指し、これからも活動を進めていく」と力を込める。