春なのに 1羽たたずむ、ハクチョウ北帰行せず/盛川(別写真あり)
平成30年4月12日付 1面

▲ 4月になっても北に戻らずにいるハクチョウ=大船渡市・盛川
春本番を迎えつつある気仙地方。この中、大船渡市の盛川河口近くでは〝冬の使者〟であるハクチョウが見られ、市民の話題となっている。周囲ではサクラの見ごろも訪れている中にあって、はるか北へ帰ることなく1羽静かにたたずむ。
このハクチョウはオオハクチョウとみられ、ここ数日は、盛、赤崎両町を結ぶ佐野橋付近でウミネコの群れに交じっているのが見られる。
11日もその姿が見られた。盛岡地方気象台の観測で、同日の大船渡の日中の最高気温は18・1度(平年比4・7度高め)と暖かくなった。
川の周囲にあるサクラの木々も明るく色づいた中、このハクチョウは、甲高い鳴き声を上げながら飛び交うウミネコたちを背に、どこか寂しそうな雰囲気を漂わせていた。
ハクチョウは、数千㌔も離れたシベリアからやってきて冬の訪れを告げ、春先には帰って行く。
気仙では陸前高田市立博物館(大久保裕明館長)が鳥類に詳しく、同館の浅川崇典学芸員は「気仙にやってきたハクチョウは、おおむね3月上旬には北へ戻っていく。この時期になってもとどまっているとなれば、けがを負っているのかもしれない」と推測する。
大船渡市内では昨年の夏ごろ、赤崎町や末崎町の海岸などで1羽のハクチョウが相次いで目撃されているが、今回の個体がこれと同じものかは不明だ。