トマト栽培施設着工へ、いわて銀河農園が地鎮祭/大船渡(別写真あり)

▲ いわて銀河農園の園芸施設が整備される広大な用地=末崎町

被災跡地の産業用地に 

 

工事の安全を願って挙行された地鎮祭=同

 紫波町の㈱いわて銀河農園(橋本幸之輔代表取締役)は13日、大船渡市末崎町小河原地区(大田地内)に整備する生産技術高度化施設の地鎮祭を挙行した。防災集団移転促進事業(防集)で市が買い取った被災跡地に建設し、県内初となる施設でトマトの通年栽培、出荷を行う。工期は9月20日(木)までで、10月後半からの操業開始、来年1月の出荷を目指す。
 地鎮祭には、同社や市、設計・施工を担当する㈱プラスワンホーム(宮城県仙台市)の関係者、地域住民代表ら30人余りが出席。祝詞奏上や鍬入れの儀、玉ぐし奉てんなどが行われ、工事の安全と施設の発展を祈念した。
 橋本代表取締役(37)は「末崎の地から農業の新しい形を作り、岩手県、日本に発信していきたい。全力で取り組んでいくので、引き続き皆さまの協力をお願いしたい」とあいさつした。
 同社はサラダボウル(山梨県)と銀河農園(紫波町)によって、平成28年に設立。資本金は1000万円。
 建設用地はかつて住宅団地だったが、7年前の東日本大震災で被災。防集工事による土砂の仮置き場として利用後、地域との協働による検討の結果、企業立地に向けた産業用地として活用することを決めた。
 敷地面積は約3・2㌶あり、市が29年度に敷地造成や防火水槽工事を実施。いわて銀河農園では昨年5月に市と企業立地協定を結んでこの用地を借り受け、建築面積約1・6㌶の生産技術高度化施設を整備する。総事業費は約6億5000万円で、国の産地パワーアップ補助金を活用する。
 施設は鉄骨造り平屋建てのビニールハウスで、トマト栽培棟と集出荷施設棟(管理棟も含む)で構成。施設では、24時間体制で温度や湿度、日射量、二酸化炭素濃度を管理。好環境を維持しながら、土を使わない養液栽培でトマトを通年生産する。
 施設完成後は11月ごろに苗を定植し、年明けの初出荷を目指す。まずは栽培がしやすく、出荷後の日持ちが長めというピンポン球大の品種「天然水トマト」の生産から始める見込みで、将来的には品種を増やしていく考え。年間で45㌧を生産し、地元をはじめ、北海道や東北、関東のスーパーマーケットなどに出荷する計画。
 本社所在地は、操業開始に合わせて紫波から大船渡へ移す。従業員は正社員やパートら約20~30人を雇用し、最終的には50人程度まで拡大する見通し。募集は夏以降の開始を予定する。
 橋本代表取締役は「当初の計画より遅れも出たが、その分地域の方々と話す時間が増え、工事をするにあたっての問題解決にもつながった。皆さんの期待を感じながら、それをモチベーションに変えて取り組んでいきたい。農業にはまだ伸びしろがある。イメージを変えながら担い手も育てていきたい」と話し、意欲をみせていた。