「空き家バンク」スタート、遊休不動産を有効活用へ/大船渡市
平成30年4月17日付 1面

大船渡市は本年度、新たに市内の空き家情報を集約し、広く提供する「空き家バンク」の取り組みをスタートさせる。全国的な課題である空き家対策と、各地からの移住・定住促進などが目的。市はさらに、空き家バンクを利用し、家の売買や賃貸借契約を締結した空き家所有者と利用者(市外からの移住者のみ)に対する奨励金交付制度も設け、登録促進や遊休不動産の有効活用を図っていく。
奨励金制度も創設
移住・定住の促進図る
大船渡市は、人やものの移動や交流の促進、産業振興、人口の定住化などにつなげようと、安心・安全が確保され、快適で利便性の高い都市環境づくりを推進している。
東日本大震災からの復旧・復興が進む中、災害公営住宅の建設や防災集団移転促進事業の宅地造成が完了するなど、被災者の住まい再建も進展。一方、人口減少などに伴う空き家問題は今後の顕在化が予想されており、市は平成27年度に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」で「移住総合支援体制構築プロジェクト」を立ち上げ、移住しやすい環境を整えるための事業に取り組んでいる。
この中では同年度、民間事業者に委託し、市内の空き家と推測される家屋の実態調査を実施。その結果、227軒の空き家があることが確認された。
市はこの現状なども踏まえ、地元不動産業者との意見交換も行いながら、プロジェクトにも掲げた空き家バンクの具現化を検討。空き家を利活用し、良好な生活環境の保全、大船渡への移住・定住促進を図ろうと、先月27日付で空き家バンクを設置し、本年度から本格的に取り組んでいくこととなった。
空き家バンク利用(イメージ図参照)にあたってはまず、売買や賃貸を希望する空き家(一戸建てに限る)の所有者が、申込書や空き家情報を記入した登録カードを市に提出。市は審査を行い、登録が決まると空き家に関する情報を市ホームページなどを通じて公開する。
情報を見て、登録された空き家の売買、賃貸を希望する人(利用者)は、空き家バンクの利用を登録。所有者、利用者の登録は、市企画調整課への直接提出か、郵送で受け付ける。
市は必要に応じ、所有者や利用者、宅地建物取引業者に対し、登録された情報を提供。これらを通じ、利用者と所有者(または宅地建物取引業者)との間で交渉を行い、話がまとまれば売買や賃貸借契約を締結する。
市は空き家バンクの登録促進を図るため、「空き家バンク活用奨励金」制度も併せて設置。空き家バンクを利用して売買、または賃貸借契約を締結した場合に奨励金を交付する。
交付対象者は、空き家バンクに登録した所有者と、利用者のうち市外からの移住者。ただし、▽大船渡市税の滞納がある▽契約の相手方が交付対象者の3親等以内の親族──のいずれかに該当する場合は、対象外。
交付金額は、所有者、利用者ともに一律5万円。同一の空き家、利用者に対し、それぞれ1回のみ交付する。利用者は移住者に限定されるが、所有側、利用側の双方に交付され、手数料や仲介料などそれぞれに必要な経費へ活用できる。
交付には、▽奨励金交付申請書▽売買または賃貸借契約書の写し▽市税の滞納がないことを証明する書類▽住民票の写し(利用者のみ)──が必要。これらを同課へ提出すること。
登録や、奨励金交付申請に要する書類は、同課で配布。市ホームページからダウンロードもできる。
戸田公明市長は「地方は人口減少が進み、厳しい状況がある。空き家バンクを利用し、大都会に住んでおられる方々で興味がある人、大船渡に魅力を感じている方が移ってくる機会となるよう、大いに期待したい」と話している。
空き家バンクへの問い合わせは、同課(℡27・3111内線229)へ。