まもなく開業1年、アバッセたかた/陸前高田

▲ アバッセたかたと市立図書館を核とし、1年前から大きく変化している中心市街地=高田町

 東日本大震災で市街地が壊滅状態となった陸前高田市で、発災から6年以上が経過した昨年4月27日、待望の開業を迎えた大型商業施設「アバッセたかた」。高田町のかさ上げ地に整備され、新市街地で初めて営業を開始した事業所として市の商業をけん引する役割を担いながら、この1年で存在感を高めてきた。今月27日(金)~30日(月・祝)には「誕生祭」としてオープン1周年記念行事を展開。5月には4日間にわたりゴールデンウイーク(GW)セールと銘打ったイベントを相次いで実施し、中心市街地への来訪を促す。

 

中心市街地への来訪促す

27日から「誕生祭」、5月にはGWセール


 アバッセたかたは、高田松原商業開発協同組合(伊東孝理事長)=A棟、陸前高田再開発㈱(米谷春夫社長)=B棟、㈱ツルハ(鶴羽順社長)=C棟=が一体的に整備した複合型商業施設。A棟は専門店街に市立図書館を併設。B棟にはスーパーマーケット等、C棟にはドラッグストアが入り、書店や飲食店、衣料品、銀行、携帯電話ショップなど、日常生活に必要な店がひと通りそろう。 
 一方、消費活動だけでなくコミュニティーづくりの場にもなっており、A棟内の「パブリックスペース」ではコンサートや展覧会、各種ワークショップといった文化活動も盛ん。気仙語で「一緒に行きましょう」と誘い合う意味を持つ「あばっせ」の言葉を体現するようなにぎわいが生まれている。 
 中心市街地では、この1年余りの間に10店舗以上が営業を始めた。はっきりした個性があり固定客も多い事業所と、大型商業施設。アバッセに併設される図書館と、隣接する「まちなか広場」、交流拠点である「ほんまるの家」。それぞれの施設が利用者を呼び込み合っている。
 同組合の菅原香さん(46)は「個店に来た方がアバッセをのぞいて、『こっちにも食べるところあるんだね』と言って立ち寄っていくなんてことも多い。まさに、目指している『回遊型』のまちになってきている」と語る。
 アバッセ専門店街における3月末時点でのレジ通過者は現在集計の段階だが、100万人を超える見込み。また、図書館でも先月、昨年7月のオープンから異例といえる速さで来館者が10万人を突破した。同館とテナント事業者による合同企画をパブリックスペースで定期的に開催していることから、それまで図書館を利用しなかった人の来館促進、店側は顧客の拡大が図られるといった相乗効果が生まれている。
 菅原さんはさらに、「いま考えているのは、営業時間など個々の店の情報を市街地の事業者で共有すること。アバッセにいても個店の場所をお客さまに尋ねられたり、『○○はきょうやってるの?』と電話で聞かれることもある。互いにフォローしながら盛り上げ合いたい」という。
 現在も、オープンを控えた個人事業所が各所に建設され、まちなかは日々変貌をとげている。同組合の伊東理事長(64)は、「1年前と比べて確かな人の流れが生まれており、うれしく思う。誕生祭には多くの人に来ていただき、ほかの店も見てもらえたら」と話している。
 丸1周年となる27日は、午前9時にオープン。来場者に粗品を進呈するほか、アバッセ内の店舗のレシート3点分の提示でロゴ入りトートバッグをプレゼントする(先着200人)。28日(土)午前11時からはもちまきを、29日(日)午後3時からはチャリティーコンサートが行われる。
 大型連休中の5月3日(木・祝)~6日(日)はGWセールとして、専門店街による企画を実施。買い物レシートの提示により、大型遊具で無料で遊べたり、「お買い物券」が進呈されるゲームに参加できるといった特典がある。
 誕生祭とGWセールの主なイベントスケジュールは別表。問い合わせは同組合(℡53・2111)まで。