現状と未来像発信、地域おこし協力隊活動報告会/住田(別写真あり)
平成30年4月18日付 1面
住田町による地域おこし協力隊活動報告会は16日夜、役場町民ホールで開かれた。町内では現在6人が活動し、全員が着任から1年が経過。最長3年と期間が定められている中、隊員たちは住田の魅力を掘り起こしてきた足跡を振り返ったうえで、残り任期の決意や定住に向けた活動のあり方を発信した。
地域おこし協力隊は、人口減少による地域の活力低下や人材不足の解消に向け、町が都市住民やUターン者を受け入れる制度。期間は最長3年で、着任前の経験を生かして新しい地域活性化活動に従事し、その後の町への定住・定着を図る。
地区配属は世田米の植田敦代さん(32)=盛岡市出身、下有住の平林慧遠さん(32)=東京都出身、上有住の金野正史さん(31)=大船渡市出身、五葉の菊池顕さん(31)=盛岡市出身=の4人。地域産材を生かした活性化を目指す「木いくプロジェクト」では田内聡さん(46)=岐阜県出身、「食いくプロジェクト」では菅野悠太さん(29)=住田町出身=が活動している。
報告会には協力隊員5人が並び、欠席した田内さんの活動は「木いくプロジェクト」の担当課である町農政課職員が説明。地域住民ら約30人が出席した。
平成28年4月に着任し、まち家世田米駅を活用した交流人口拡大を図る植田さんは、本年度が活動最終年。自らの足跡を振り返りながら「『やりたいことがなければ自分でつくっちゃえばいい』と教えてくれたのは住田町。この一年、全力で頑張りたい」と述べた。
昨年4月着任の平林さんは、前年度行ったソバ栽培をはじめ遊休農地活用の取り組みを総括。町の情報発信充実に向けたホームページ制作やニンニク生産など、本年度の「挑戦」も明かした。
同じく着任から1年が経過した金野さんは、昨年10月に上有住・鏡岩で実施したハンモック体験の成果を報告。さらに「住田の自然、資源をPRし、ゆっくり滞在できる場をつくり、関係人口増につなげたい」と、自身が目指す将来像を語った。
28年12月から活動している菊池さんは生産者らと合同会社を立ち上げ、五葉山火縄銃鉄砲隊の魅力を発信しようと「ドン菓子」製造に取り組んだ活動を紹介。今後も新商品開発や町内外のイベントに積極的に出向く姿勢を示し「町の魅力を知ってもらうきっかけを一つでも増やしたい」と力を込めた。
まち家世田米駅内のレストラン・ケラッセ運営にかかわる菅野さんは27年11月着任で、残り任期は半年余り。「行者ニンニクなど、町内で生産されていてもなじみの薄い食材の活用を広めたい」「任期終了後も、住田の食材の活用に携わりたいし、ケラッセで働きたい」と述べた。
地域住民は終始熱心な表情で耳を傾け、多彩な活動に理解を深めた様子。説明終了後は、協力隊それぞれに対して本年度の活動に関する質問が相次ぎ、関心の高さをうかがわせた。