木造新拠点の完成祝う、消防住田分署落成式(別写真あり)

▲ 本格供用開始を祝うテープカット=世田米

式典終了後には見学会も

役場庁舎向かいに整備  

 

 住田町による大船渡地区消防組合大船渡消防署住田分署新庁舎の落成式は18日、世田米の現地で行われた。出席者は役場庁舎向かいに完成した新たな木造防災拠点の本格供用開始を祝うとともに、安全・安心の向上や森林資源を生かした町の活性化にも期待を込めた。
 1階車庫での式典には、町や消防組合の関係者ら約80人が出席。神田謙一町長は整備までの経緯を振り返ったうえで「森林・林業日本一を目指す住田町にふさわしい防災の要。安心して心豊かに暮らす『支え合う共生の町』を目指し、町民と行政がともに知恵を出し、汗をかきながら取り組みたい」と式辞を述べた。
 引き続き用地提供者の冨山東一郎氏(世田米、代理者出席)と千葉八枝子氏(同、欠席)、施工・設計の㈱SALHAUS一級建築士事務所(東京都)、㈱菊池技研コンサルタント(大船渡市)、㈱佐武建設(陸前高田市)、住田住宅産業㈱(住田町)、㈲山崎工業(同)に対し、感謝状を贈呈。
 来賓祝辞では、同組合管理者である戸田公明大船渡市長が環境面や地元資源利用などにも配慮した新施設の有効活用に期待。菊池孝町議会議長は、さらなる安全・安心への願いを込めた。
 神田町長らが一列に並んでのテープカットが行われると、待望の完成を祝う盛大な拍手に包まれた。式終了後は内部見学会が行われ、消防関係者らは地元産材をふんだんに生かした構造や、署員らの迅速な出動などを支える機能性などを確認した。
 新庁舎整備は昨年5月に着工。分署棟は木造2階建てで、工法には「貫式木材ラーメン構造」を採用。木材の特性を生かした構造で、高い耐震性を確保した。
 柱梁の貫の接合部には、木製の込み栓と楔(くさび)を利用。極力金物を用いずに、木造伝統の技術を踏襲した。柱や梁は、町産のスギ、カラマツの集成材を中心に調達した。
 屋根や床、階段の構造部材には、林業資源を生かす新たな産業化の観点から注目されるスギ材の木材パネル・CLT(直交集成板)を利用。耐震性能向上や、内装仕上げとして用いた。
 1階には出動準備室、仮眠室といった救急出動に備える業務スペースを配置。2階には、事務室や会議室、団本部室などが入る。
 分署棟東側には、さまざまな利活用ができる駐車場兼訓練広場を確保。ランニングコースも設けた。本年度はこの訓練広場で、気仙地区の操法競技会が予定されている。
 敷地造成も含めた総事業費は6億1745万円。財源は緊急防災減災事業債が5億8960万円で、残りが一般財源。すでに本格供用が始まり、署員15人が3交替体制で勤務している。