9月中の計画提案目指す、観光物産館(仮称)整備の構想/住田

▲ 進ちょく状況に耳を傾ける出席者=住田町役場

 住田町観光協会(泉田静夫会長)が一昨年から昨年にかけて開催した「町観光プラットフォーム」の中で機運が高まった、世田米・国道107号沿いでの観光物産館(仮称)整備構想。同協会では、9月末までに整備計画を策定し、町に提案する方針を固めた。町内の観光、産業関係者らが熱い議論を重ねてきた一方、規模や整備場所など乗り越えなければならない検討事項も少なくない。交流人口拡大のみならず、畜産をはじめ農業分野の情報発信や活気創出の形を着実に描けるか、正念場の時期に入ったともいえる。


規模や場所検討は〝正念場〟


 観光プラットフォーム事業は、住田の魅力向上や所得向上につなげるための観光振興を見据え、情報交換や検討を行う場として設置。平成28年度は5回、29年度は9回開催した。
 出席者間では「交通量の多い国道107号沿いに、住田町の魅力や情報のワンストップ拠点となるような観光物産館(仮称)が必要」との総意でまとまった。協会では町内関係団体に参加を呼びかけて検討会を重ね、運営を担う組織づくりを進めてきた。
 その後は部門別の検討に着手。運営や物産・農産物直売、加工に関し、協会ではプラットフォームに参加していた事業者らに声をかけ、物産館運営の中心役を担うか意思確認も行いながら進めた。
 運営に関しては住田観光開発㈱が母体となり、さらに町内の畜産関連企業や行政、産直組織などが連携する体制で進める方針。今年1月からは、観光開発と㈲ありすポークや住田フーズ㈱、町、町観光協会による検討の場が設けられた。
 運営面では、農畜産物の加工販売も重視。とくに畜産は、まとまった生産規模があり、品質の高さは県内外で定評がある半面、地元でのPRは不足気味とされてきた。豚肉、鶏肉の精肉や加工に加え、簡易な農産物加工に対応できる設備も検討する。
 また、野菜や米などを主体に生産・販売する町内産直関係者とは情報交換会も含め4回にわたり協議。すみた種山ケ原直売組合が主体となり、同組合のレジシステムなどを活用しながら出品による高齢者の生きがいづくりや新規就農者が意欲的に取り組める形を目指す方向でまとまった。
 このほか、購入した食品を店内で味わえる「イートイン」、木の魅力にふれる「木育コーナー」、創作活動を披露するギャラリーやフリーマーケットの開催、体験企画にも対応できる場を描く。一方で、プラットフォームの中で要望があった入浴施設は採算面で厳しく、食堂・レストランは既存店への影響から見送る方針。
 協会では、まとまりつつある施設構想の〝柱〟をもとに、9月末までに計画案を完成させ、町に提案したい考え。31年度からの予算措置や整備着手などを見据える。「通過型や休憩で立ち寄るための施設ではなく、『行きたくなる』『目的地』となれるように取り組みたい」としている。
 協会では、進ちょく状況報告会を17日夜に町民ホールで開催し、プラットフォームへの参加を重ねた生産者や観光施設関係者ら約30人に説明。今後の取り組みに理解を求めた。
 出席者からは「ソフト面は理解できたが、場所や規模といったハード面はどうなっているか」との質問も。協会側では加工場の規模がまだ固まっておらず、具体的な場所に関しても「めぼしはついていない」と説明した。
 役場周辺の国道107号沿いでは昨年から今年にかけ、既存店の間を埋めるようにコンビニエンスストアなどの新施設整備が続く。一方、道路反対側は急傾斜地となっており、建物整備には制限がある。計画案では、施設概要や運営のあり方をどう示し、住民や生産者らの期待感を呼び込めるかがカギとなる。
 別の出席者からは「町には図書室改築に向けた動きもある。こうした動きとも合わせ、もう少し広い視野で考えては」との声も寄せられた。協会では今後、運営の中心役となる予定の組織関係者らと検討会を重ね、より良いあり方を探ることにしている。