相談4000件超に対応、開設~29年度の実績まとまる/法テラス気仙

▲ 法テラス気仙への相談件数は29年度末で4000件を超えた=大船渡市盛町

 日本司法支援センター岩手地方事務所(法テラス岩手)はこのほど、東日本大震災被災者の生活再建などに関する無料法律相談にあたっている、大船渡市盛町の同事務所気仙出張所(法テラス気仙)などの業務実績をまとめ、公表した。法テラス気仙への相談件数は、開所の平成25年3月~今年3月末までで4000件を超え、29年度だけでも700件ほどとなっている。もっとも割合が高いのは相続や離婚など家族関係で、金銭の貸し借り、住宅建築にかかるものも目立つ。復興途上にあっては、引き続き無料相談の需要が保たれたまま推移するものとみられる。

 

相続や離婚の割合高く

 

 法テラスは国が設置する総合法律支援の中核を担う施設で、平成18年10月から業務を開始。東京都に本部事務所、全国の地方裁判所本庁所在地や司法過疎地などに地方事務所が置かれている。
 本県では、スタート時に盛岡市に岩手地方事務所本所が置かれ、21年1月に宮古地域事務所を設置。震災後の24年3月に大槌、25年3月に気仙の両出張所を設け、被災者支援に特化した拠点として、無料法律相談などにあたっている。震災特例法による無料相談は、今年3月末までとされてきたが、3年の延長がこのほど決まった。
 法テラス気仙は、大船渡簡易裁判所近くに構える。弁護士が水曜日を除く平日の週4日、相談に対応しており、月1回の休日相談や月2回の夜間相談も。このほか、司法書士が毎週水曜日、社会保険労務士が月1回、税理士が月2回相談にあたり、巡回相談などにも取り組んでいる。
 法テラス岩手のまとめによると、気仙の開所から今年3月いっぱいまでの相談件数は4158件。相談者の住所は大船渡市2702人、陸前高田市952人、住田町208人、その他県内158人など。
 年代別では、60代が1072人でもっとも多く、50代が935人、40代711人、70代581人、30代473人などと続く。
 対応者は、弁護士が3079件、司法書士が539件、職員が220件、税理士が216件など。
 相談内容でもっとも多いのは、相続や離婚といった家族関係。1546件で全体の37%を占める。次いで、金銭の貸し借りなど生活上の取引関係が814件、住まい・不動産が800件、行政(税金など)347件、事故・損害賠償235件などとなっている。このうち、住まい・不動産関連では、住宅再建時の契約にかかるものがみられるようになってきたという。
 開設以降の年度別利用実績をみると、▽24年度(25年3月のみ)32件▽25年度954件▽26年度915件▽25年度843件▽28年度707件▽29年度707件──と、大きく減少することなく推移。住宅再建に至っていない被災世帯もある中で、引き続き無料相談のニーズはあるものと見込まれる。
 法テラス気仙の開設日と時間は、平日午前9時~午後5時。予約優先。問い合わせ、申し込みは電話(050・3383・1402)で。
 相談内容別の件数は別掲の通り。