春の山里彩るこいのぼり、清水橋にズラリ/世田米(別写真あり)

▲ 清水橋にズラリと並ぶ、こいのぼりの〝カーテン〟=世田米

 住田町世田米の新町親睦会(細谷勝男会長)によるこいのぼりの掲揚作業は22日、気仙川に架かる清水橋沿いで行われた。橋沿いには愛知県内の企業や地域住民から贈られた色とりどりのこいのぼりが並び、山里に彩りを添えた。行楽客や帰省の家族らを迎える掲揚は、5月6日(日)までを予定している。

 

新町親睦会が今年も、5月6日まで掲揚


 親睦会は、気仙川左岸側の清水橋たもとに住む約20世帯で構成。子どもたちの健やかな成長を願って平成11年から毎年実施し、東日本大震災以降は被災地の子どもたちを元気づけ、早期復興を願う意味も込めている。
 2週間以上にわたり春風に揺られるとあって、掲揚するこいのぼりは傷みが進みやすい。1、2年で使えなくなるという。
 親睦会だけでの確保では限界があり、こいのぼり不足に直面した時期もあった。
 こうした中、震災を機に町と交流を深めるトヨタ自動車㈱をはじめとした愛知県内の企業や団体、地域住民が25、26年に合計約1400匹を贈呈。これらを生かし、今年も色鮮やかなこいのぼりが並んだ。
 作業には、早朝に行われた気仙川の一斉清掃を終えた住民ら約20人が参加。長さ約90㍍のワイヤーに、色とりどりのまごいやひごいを1匹ずつ、約70匹を取り付けた。
 声をかけ合い、絡まることがないよう注意を払いながら、コンクリート柱に引っかけたワイヤーを張って掲揚。スムーズに進み、作業を終えた住民は揚げた満足感を味わいながら、ゆっくりと泳ぐ姿に目を細めていた。
 今年は3月に桜前線が気仙に到来し、その後も暖かさが続いた影響で、気仙川沿いのサクラの多くは見ごろを過ぎた。それでも北西側に位置する浄福寺の1本が彩りを添え、さらに落雷被害を受けたモミの木を生かした親鸞聖人像が見守る。
 今月下旬から5月上旬の大型連休には、気仙ではさまざまな観光イベントが控える。
 清水橋は盛岡をはじめ県内陸部から気仙に入る際の玄関口と言える場所にあり、観光客や出身者を出迎える役割も担う。 
 細谷会長(79)は「人口が少なくなっている中、少しでも多くの人々が行き交う場になれば」と話し、期待を込めていた。